国際救助隊??
「問題が多いから助けて!と言われて支援に来たのに多すぎるから辞めるなんて『敵前逃亡』じゃん!」
或るプロジェクトで有能な部下の愚痴を今聞いています・・・
とっても気持ち、わかります。
・ タスク定義もマスタースケジュールもいいかげん。進捗が定量的にわからない。
・ 役割定義もいいかげん。今誰が何やってるか全然把握できない。
・ 要件定義書が足りない。要件管理が属人的。
・ だからテストシナリオが書けない。網羅的テストができない。
・ リーダーは実務に忙殺され管理業務に一切従事できない。先を見越した活動計画者が不在。
生々しいので多少デフォルメの上で整理してみると、こんな感じです。
私の会社は、基本的に
「何かしら大きな問題、多数の問題を抱えたプロジェクトを運営するお客様から救援依頼」
を請けて仕事をすることが多いので、部下の皆さんには当然苦労や時には苦痛を強いることになります。
で、
例えは悪いのかも知れませんが、我々は国際救助隊なんだ、と皆に言い聞かせています。
このテレビドラマもしくはムービーでは、救助隊は一度に1つのクライアントからしか、救援依頼を請け取ることができません(笑)。
「世界をまたにかけて、一度に1件だけかよ!」と子供心に長年の疑問を感じていました・・・
・・・それはさておき、「助けて!」と頼まれた以上、全力で救援に当たるのが私達の使命。
なんでこんなプロジェクトステータスになってしまったのか。
当局管理者等の責任等はこの際おいといて、
救援部隊として編成・着任したスタッフ達の耐性の最近低いこと。。
ここで冒頭のコメントに戻るのですが、
部下の不満は「一緒に頑張りましょう!」と決起して建て直しを始めた仲間達が、次第に目の前の「火事」の大きさにビビってしまって、「もう私は耐えられません。誰がなんと言おうと抜けます」と突然キレて去っていくこと。
空いた穴は当然自分や残ったメンバーが埋めていくしかない。
だから当然当初予定より作業量が多くなる。
期限も厳しいものが山積となる。
役割は当初想定より広い範囲となり、当初以上に現場におりた実務に次第に忙殺されていく。
自分だってキレたいよ!
でも、お客様に助けて!って頼まれたから今ここにいる。
「戦争に来て『弾が怖いからやっぱり退役します』っていう軍人なんかいないですよね。」
死傷覚悟なんてぜーんぜん思ってないけど、
「逃げてしまったら自分の仕事人としての存在価値はそこで終わりですね。救助隊を名乗る資格がないです。」
自分なりに現場の現在をみつめ分析し、
最善策を考え、
自分を納得させ、
新しい形にシフトしたプロジェクトの修羅場へ、
また戻っていく。
立派というか感謝というか、
ホント、尊敬しております。
本当に「命を賭けても」なんて不謹慎なことは決して考えていないし、させたくありません。
が、全力で救援作業を尽くしていくためにも、
あらためて最近の案件、どう整理するかというと、
大抵の場合、
やるべきこと、やり残していること、が洗い出しきれていません。
だから、
これからゴールへリスタートするためのスケジュールが引けない。
だから、
これから誰がいつからいつまでに何をやればいいのか、
今誰が何をやっていなければいけないのか、
今、誰が何をやっている(はずな)のか、
わからなくなって、パニックになっていくんです。
「救助隊」も全力で頑張りますが、
戦略も戦術もなしに、「吹雪の中を遭難覚悟で雪山に突入」するわけにもいかないんです。
だからまずはこれらを状況把握。
別に現場の皆さんがちゃんと把握していなくても大丈夫。我々がちゃんと自分の目や耳で把握・分析します。
ただ1点、嘘をつかれなければ。
ある程度までは鼻が利くけど、さすがに徹底されると全部は見破れないのでリスクが高まる。
正直に事実を公にしてくれれば、精一杯「救助」にあたります。
不得意なことからは極力解放できるよう、各自の役割も見直すし、
予算の問題もあるでしょうが、「手足不足」はできるだけ補充を交渉します。
そして、あとはみんなでやる気を持って欲しいんです。
ある意味「救助隊」を支持していただきたい。
辛いけど、ここはみんなで乗り切りましょうね!
「こんなプロジェクトになっちゃったのはそもそも○○が悪いんだよ」
・・・わかります。よーくわかります。
「戦犯」を咎めるのは大いに結構。ガス抜きにもなります。
でも、その次に、
救助を求めた人は、救助に来た人の主張と依頼をちゃんと聞き入れて欲しい。
そして、一緒に救助を受諾してここにいる人も、自分の持てる力を精一杯尽くして欲しいです。
次はきっと。いいことあります。
悩めるプロジェクトの方々、
救助隊のメンバー諸兄、
一緒に、頑張りましょう。
(ちなみにメンタル含め病んでしまった人はこのストーリーに組み込むつもりはございませんので念のため)