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米国東海岸発、とあるソフトウェア開発者のよもやま話

おいしいコーヒーを飲みたい!: ヒートガン/ドッグボウルでコーヒー焙煎

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夏ですねー。夏はなぜかおいしいコーヒーが飲みたくなります。
おいしいコーヒーを飲むための条件のひとつ、それは新鮮なコーヒー豆を使うことです。
ということで、最近は、自分でコーヒー豆を焙煎してます。

コーヒーの焙煎とは?

もともとコーヒーの豆は、緑色をしています。

Heatgundogbowl01

コーヒーの焙煎とは、この生豆を炒って、熱を与え、豆に含まれる成分を化学反応させ、コーヒーの香り、風味、味にすることです。焙煎をすることで、この緑色の生豆が、スーパーや自家焙煎のお店で売られているような茶色のコーヒー豆になります。

ちなみに、コーヒーの生豆に「化学反応」をおこさせるというのがポイントです。適切に熱を徐々に与えながら最後は摂氏200度を超える熱を与えることで、豆に適切な化学反応を与えること。これがおいしいコーヒーを作るための焙煎のキーとなります。

通常、コーヒーの焙煎と言えば、コーヒーの自家焙煎店にあるような、大きなロースターがその代表です。アメリカでは、home roastingと言って、自分でコーヒーを焙煎する人もいます。ポップコーンを作る機械で焙煎したり、専用の低価格な家庭用のロースターも売られています。

なぜ自家焙煎?

なぜ自家焙煎をするのか?ひとことで言ってしまえば、新鮮なコーヒー豆を手に入れることができるからということですが、もうちょっと付け足すと: 

  • とにかくおいしい。
    炒りたての豆で淹れたコーヒーはおいしいです。とくに自分で焙煎した豆は、そこらで買ったコーヒー豆より比べ物にならないくらい格段においしいです。自家焙煎の店よりもおいしいときも多々あります。なにせ自分で焙煎したまめですから、新鮮そのもの。特に出来が最高のときは、その満足感にひたれます。笑
     
  • 各地のいろんな豆を試せる。
    コスタリカ、グァテマラ、ブラジル、コロンビアなど、中央アメリカ、南アメリカのコーヒーをはじめ、エチオピア、イエメン、ケニヤ、ハワイなど、いろんなシングルオリジン(複数の豆の種類をミックスした「ブレンド」の豆と区別してこう言います)の豆を試すことできます。自分で焙煎すると、それら地方によって、豆の味がまったく違うということにびっくりすることでしょう。
     
  • とにかく安い
    スーパーや自家焙煎店で売られているコーヒー豆より、かなり安くお買い得です。


どこでコーヒーの生豆を手に入れる?

コーヒーの自家焙煎をするには、まずは、コーヒーの生豆(green coffee beans)を手に入れなければいけません。現在では、webで生豆を販売しているところも多く、「コーヒー 生豆」とwebで検索すれば、いろんな生豆のお店を見つけることができます。

私の場合は、Sweet Maria's (sweetmarias.com)でいつも生豆をオーダーしています。Sweet Maria'sは、home roastingでは特に有名なサイトで、home roastingのために生豆や家庭用ロースターをオンラインで販売しているだけでなく、いろいろな焙煎方法を紹介しています。その情報量はかなりのものです。Sweet Maria'sでは、ほとんどの生豆は、1パウンド(0.4536kg)あたり、5-7ドルくらいで買えます。ここで販売される生豆はどれもおいしいものばかりです。

ヒートガン/ドッグボウル(HG/DB)焙煎の道具

焙煎方法はいろいろありますが、今回、紹介するのが、「ヒートガン/ドッグボウル焙煎」(heatgun/dogbawl roasting)というものです。

用意するものは:

  • ヒートガン
    Heatgundogbowl02
    私の使っているのは、Makita HG1100というモデルです。温度コントロールがついていて、華氏250度から1100度まで(摂氏121度から593度まで)出ます。ヘアードライヤーのようですが、これで髪の毛を乾かしてはいけません。笑) パワーがないヒートガンだと適切に焙煎できないので買うときは要注意。温度コントロールがない場合は、自分でヒートガンを近づけたり離したりすることで温度をコントロールします。
     
  • ドッグボウル
    Heatgundogbowl03
    犬のえさ用のステンレス製のボウル(器)です。ペットショップで買えます。私は64オンス(1.8kg)の容量のサイズで、280gのコーヒー生豆を焙煎しています。
     
  • かき混ぜるための棒やスプーン
    焙煎している間は、つねにコーヒー生豆をドッグボウルでかき混ぜ続けることが必要です。これをしないと、豆が均等に焙煎できなかったり、焦げてしまったりします。何百度の熱に耐えることができる鉄製や木製の棒やスプーンが必要です。熱で熱くなるので、枝の長いものかつ、軽いものがいいです。私は泡立てを使っています。
     
  • 手袋
    燃えない厚手の手袋が必要です。私は軍手を使っています。
     
  • 手網
    よく料理でサラダを洗うときなどに使うボウル型の網です。2つ必要です。これで焙煎が終わった豆を、この2つの網、交互に何度も移して、冷却します。

 

以上がこのHG/DB焙煎で必要な道具です。
さらに私の場合は、以下のものを使ってます。

  • 万力
    ヒートガンを固定します。これで、ヒートガンをずっと持っている必要がなくなり、片手が空きます。万力がないと、片手ヒートガン、もう片手にかき混ぜるための棒やスプーンを持たなければならないので、片手があくというのはかなり楽です。
     
  • 赤外線温度計
    Heatgundogbowl04
    物体にタッチしなくても、その物体に向けるだけで表面の温度がわかるスグレモノの温度計です。このモデルは小型なのでポケットにも入ります。
     
  • 時計
    ストップウォッチ機能がついたもの。何分たったらどのくらいの熱を上げるとかコントロールするために使います。
     
  • アルミホイル
    ドッグボウルに半分かぶせます。これでボウルの中の温度をより一定にすることができ、より均一に焙煎することができます。 
     
  • 小型扇風機
    焙煎が終わった豆を冷却します。扇風機を使わなくても、2つの手網を使って、交互に豆を移すということでも冷却ができます。

ヒートガン/ドッグボウル(HG/DB)焙煎をやってみる

HG/DB焙煎のやり方は、単純で、
ヒートガンで生豆に熱を当てながら、豆をかき混ぜる。
ということになります。

ただしどれだけの温度の熱を当てるのかが重要になってきます。熱すぎると豆がこげたり、中まで熱がいきわたらなくなったりして、焙煎にムラがでたりします。

ということで、私は赤外線温度計で常に豆の温度をチェックしながら以下の目安で焙煎しています。

時間   - 温度(華氏)
00:00 - 300F (あらかじめ300Fにドッグボウルを熱しておく。ここで豆を投入。)
02:30 - 230F
03:00 - 230F
05:00 - 300F
08:00 - 350F
10:00 - 390F
11:00 - 410F (この前後で豆が「ぱちぱち」はぜる音が始まる)
12:00 - 420F (この後、豆が「ぱちぱち」はぜる音が終わる)
豆が「ぱちぱち」はぜる音が終わったら15秒か30秒後で、焙煎終了。豆を冷却する。

流れとしては、300Fにドッグボウルを熱しておいて、その後豆を投入、ストップウォッチを開始、2:30から3:00で230Fにキープ、そのあと5:00で300Fになるようにゆっくり温度を上げていきます。その後、10:00で390Fまで一気に温度を上げて、あとはまた温度をゆっくりと上げて、11:00で410F、そのあと、「ぱちぱち」とはぜ音が止んでから15秒か30秒くらいで焙煎終了するという感じです。

 

Heatgundogbowl05
これが私のセットアップです。
ドッグボウルの豆に熱風があたるように、ヒートガンを万力で固定しています。右手は軍手をして、泡立てを持って焙煎の間ずっとかき混ぜます。左手には、赤外線温度計を持って、温度を測るようにしてます。写真には出ていませんが、はぜ音が聞こえるまで、アルミホイルをドッグボウルに半分かぶせています。

Heatgundogbowl08
焙煎が終わったら、この様に手編に豆を移しかえて、扇風機で風を送って、泡立てでかき回しながら冷却します。

 

Heatgundogbowl06
Sweet Maria'sから購入したEthiopia FTO DP Sidamo Shoye Unionの生豆、緑色をしています。焙煎する前に、虫食いや、黒く焼けたようになっている豆は取り除いて、豆をひとつひとつ選別しておきます。

Heatgundogbowl07
こんな感じで焙煎できます。Sweet Maria'sの焙煎具合でいうと、City+ローストというところでしょうか。HG/DB焙煎だと、それほど焙煎した豆の色が均一にそろいません。それが複雑な味をかもし出す、HG/DB焙煎だといえるかもしれません。
 

焙煎後は、1日置いてから

焙煎が終わったら、1日置いて、コーヒーを淹れるようにします。1,2週間なら、おいしく飲めると思います。私の場合、保存はふたつきのガラスの入れ物にいれてます。よく、冷蔵庫に保存しろとか言いますが、280gなら、1週間で飲みきってしまうので、常温保存で十分です。1週間毎日飲むと、だんだん味が変わっていくのがわかると思います。最初はフレッシュな味、日にちがたつと味が枯れてきて、こくがでてきます。で、最後には、どのコーヒー豆も味が同じような味になり、この時点で古いコーヒーと言えるのかもしれません。

ということで

HG/DB焙煎をしてみました。この焙煎方法は、BBQをやっているような感じで、まさに夏の焙煎と思いました。ただし、コーヒーの焙煎は、焙煎のにおい(香り)が伴いますので、マンションなどのバルコニーで行うような場合は要注意かもしれません。でも、ピクニック気分で楽しい焙煎で、おすすめです。

 

リンク

A primer for heatgun/dogbowl coffee roasting
http://www.homeroaster.com/heatgun.html
元祖HG/DB焙煎の情報元といったらこれ。

Sweet Maria's
http://www.sweetmarias.com/
生豆の販売から各種焙煎情報まで。このサイトを一通り読めば焙煎の知識を得ることができます。Home Roasting BasicとThe Sweet Maria's Coffee Libraryのページは必見。

 

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