年末調整で手取りが増える(ことが多い)わけ
明日25日が給料日という方も多いと思います。12月の給料日のささやかな楽しみ(?)が、年末調整で手取りが増えていることではないでしょうか。実は年末調整で必ず手取りが増えると決まっているわけではないのですが、この金額はどのように決まっているのか気にされたことはありますか。11月頃に保険料の証明書や住宅ローンの残高の書類を会社に提出したあとに何が起きるのかご存じでしょうか。
年末調整の結果は1月以降に源泉徴収した金額と12月に最終的に確定する所得税額の差額です。計算の基本になるのが、「給与所得・退職所得に対する源泉徴収簿」(リンク先はPDF)です。国税庁のサイトからダウンロードできます。
1ページ目の左半分は、源泉徴収した金額を計算するための表です。
基本給に残業手当などを合計した金額が総支給額です。厚生年金や社会保険はこの支給額ベースにして計算されます。総支給額から社会保険料等を引いた残りの額に対して、源泉所得税が決まります。源泉所得税の額は社会保険料等控除後の金額を源泉徴収税額表(リンク先はPDF)にあてはめて求めます。給与を支払った企業で年末調整をするか、扶養家族は何人かによって額が異なります。
月々の給料について[1]総支給額、[2]社会保険料等の控除額、[3]算出された税額の1年分の合計を求めます。同様に賞与について[4][5][6]を計算します。[1][3][4][6]を右側に転記して、合計を[7]と[8]に記入します。これで1年間の総支給額と源泉徴収された税金の額がわかります。※○数字の代わりに[]で囲んで表しています。
ここからいろいろな控除を引いていきます。
[7]の数字を「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」(リンク先はPDF)にあてはめると、[9]の給与所得控除後の給与等の金額が決まります。この表の数字は所得額から給与所得控除の額を引いた値になっています。給与所得控除の計算式はこちらをご覧下さい。
[10]は社会保険料等の合計([2]+[5])です。生命保険料と地震保険料の控除額は[13]と[14]に記入します。保険料の提出書類はここで使われます。
その他、配偶者控除・配偶者特別控除・扶養家族控除・自分自身の基礎控除などを記入して、[18]差引課税給与所得金額が確定します。[18]の金額を、「年末調整のための算出所得税額の速算表」」(リンク先はPDF)にあてはめると[19]算出所得税額が確定します。税率は[18]の金額によって変わります。195万円以下は5%、330万円までが10%、695.5万円までが20%、900万円までが23%、1,717万円までが33%です。累進課税というわけですね。1,000万を超えると所得の3割が税金で消えるわけで、高額所得者の心中お察しします。
住宅ローンの残高に比例する控除額は、[20]に記入します。
ここで[19]から[20]を引き算して[21]に記入します。住宅ローンの残高控除額が算出所得税額より大きい方はあまりいないと思いますが、引き算の結果がマイナスの場合は[21]は「0」になります。これが所得税の確定金額です。
昨年まではこれで終わりだったのですが、平成25年はいわゆる復興増税になっています。その金額は[21]の2.1%加算です。これを加味した金額を[22]に記入します。
ここで1月以降に源泉徴収済みの[8]の金額と、最終的に確定した税額[22]の差を求めます。一般に見込みで天引きされた金額より各種の控除を引いてから正確に計算した税額の方が少ない(=多く前払いしている)ため、この差額[23]が12月の給与に加算されて支払われるわけです。
以上、簡単ですが、年末調整の仕組みでした。税金がどうやって決まるのか、知っておくといいですよ。年末調整についての詳細は、国税庁の「年末調整のしかた」に詳しい説明があります。