Google Appsの深慮遠謀
Google AppsはGmailと並んでGoogleで人気のサービスです。表計算やワープロの機能でMS Officeと比較されることが多いGoogle Appsですが、実は恐るべきパワーを持っていたことを痛感しました。
2月24日に株式会社キャッチボール・トゥエンティワン・インターネット・コンサルティング(以下、キャッチボール21)で開催された第5回CMSビズに参加しました。CMSとビジネスをメインに毎回興味深いテーマのレクチャーが人気のイベントです。今回は「GoogleとCMS」のタイトルで、Google日本語入力の開発エンジニア 小松氏と、エンタープライズ・プロダクト・マーケティングマネージャー 藤井氏のお話をきくことができました。
Google日本語入力の開発話は、どのようなことを考えてエンジニアがGoogle日本語入力を作ったのかを聞くことができて参考になりました。今後は日本語辞書のブラッシュアップをして、変換精度を高めていくとのことでした。詳細はキャッチボール21さんのレポートをご覧ください。
正直に言うと、私はもう一つのGoogle Appsのプレゼンにあまり期待していなかったのですが、予想に反して大きな発見がありました。結論から言うと、Google Appsは単なるMS Office対抗ソフトウェアではなかったということです。
Google AppsのデータはマクロのようなAPIを使って操作することができるだけでなく、その結果をGoogleサイトを使ってレイアウトして表示することが可能です。
例えば、Google Appsの表計算を複数の人がオンラインで編集して売上を入力すると、会社のポータルサイトに「今月の売上グラフ」が瞬時に表示される仕組みを簡単に作れるわけです。つまり「Google AppsとGoole サイトは、企業のグループウェアのプラットフォームである」ということを今回のプレゼンで理解しました。
この特徴にいち早く注目して、Google Appsとその周辺ソフトウェアをグループウェアの切り口で販売して成功しているのが、株式会社ベイテックシステムズです。3番目に登壇した原口 代表取締役社長によると、有名グループウェアをGoogle Appsでリプレースする案件をいくつも手がけたとのことでした。ベイテックシステムズのサイトでは、Google Appsを使ったグループウェア機能の事例が豊富に紹介されています。その中には無償で公開されているWebタイムカードアプリケーションまであって驚かされます。
Googleサイトは、本格的なCMSと比べるようなものではありません。また、単体のCMSとして強化していくことはないとのコメントがありました。とは言え、企業内の業務効率化のプラットフォームとして十分使えるCMSであると考えます。
私のようにGoogle Appsをただの表計算やワープロだと思っていると、流れを見誤るでしょう。企業内グループウェアや従業員向けポータルサイトを検討する際は、Google AppsとGoogleサイトは要チェックです。
セミナー後の懇親会では「Google Appsにびっくりした」という感想が多く聞かれました。
IT業界では自分の常識を書き換えなければならないと感じることがときどき起こります。
最後になりますが、毎回のことながら、キャッチボール21さんのホスピタリティー溢れるおもてなしで、楽しいひとときを過ごすことができました。手間をかけてイベントを主催してくれているキャッチボール21さんにお礼を述べます。次回のCMSビズは5月の予定です。