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Googleが基準になる時代、ほなオープンソースはどうやったらええねやろ?

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6月2日、Linuxコンソーシアムの解散を受けて、新団体「OSSコンソーシアム」が旗揚げしました。OSSコンソーシアムの夢は大きく、海外のOSSコンソーシアムとの連携も視野に入れています。このため日本国花である桜をイメージした、オシャレなロゴになっています。この桜の花が、世界で活躍するようになって欲しいところです。

OSSコンソーシアムには以下の部会があります。

  • セキュリティ部会
  • 組込み部会
  • ソリューションビジネス部会
  • CMSビジネス部会
  • ビジネスアプリケーション部会

この中でCMSビジネス部会は少し変わっていて、オープンソースCMSだけでなく有償の商用CMSを推進している企業・個人も参加できます。CMSの認知度を向上させるため、オープンソース・商用を問わず、いっしょに盛り上げていくことを狙っています。興味のある方は、こちらのサイトをご覧ください。

発表に続いて、<クラウド=「IT新自由主義」時代をどう生き抜くか>と題して、国立情報学研究所 社会共有知研究センター長 新井 紀子 報社会相関研究系 教授の特別講演がありました。新井教授は数理論理学が専門で、10冊以上の著書があります。

IT新自由主義では、Googleのような強いものがますます強くなります。例えば、東大の優秀な卒業生をGoogleがリクルートしています。その人達の研究成果は、決して外部に出てこなくなりました。そのため、コンピュータサイエンスは「終わった」そうです。同じく国立情報学研究所の佐藤 一郎教授のインタビューがこちらにあります。

本当に先端の技術は、その技術の現物に触れている人でないと研究できません。論文を書くための研究なら、仮想化やシミュレーションを使えば何とかなるかもしれません。しかし、実際に使えるレベルの技術を開発するためには、現物を見て、現物の癖や特性を見極め、ノウハウを蓄積する必要があります。

つまり、何百万台ものコンピュータを連動させるスケールアウト型のクラウド技術で勝負しようと思ったら、米グーグル、米マイクロソフト、米アマゾン・ドット・コムにいる以外、研究のしようが無いのです。カーレーシングのテレビゲームでいくら一番になっても、実物のレーシングカーで一番にはなれません。軽自動車を改造して農道でいくらレースをしても、F1では勝てません。F1で勝とうと思ったら、F1にかかわらないといけないのです。

コンピュータサイエンスに残された研究の余地は、かなり狭くなるだろうと思っています。

つまり、クラウドを研究しようと思えば、「中の人」になるしかなくなったということです。

その一方で、日本大学、一橋大学、立教大学、東京女子大学他の大学で、Google Appsの利用が進んでいます。Googleのメールやアプリケーションのユーザインタフェースに学生の頃から慣れ親しんだ学生が、今後は続々と世の中に出てきます。

新井教授は、「Google Waveのようなユーザインタフェースが、これからの学生にとって当然のことになる。個々にWYSWYGエディタ等を作っても、Googleにかなわない。個別の開発はせずにオープンソースで共有して、Googleに対抗すべき。」と指摘しました。

Google Waveのデモを見ると、Googleの圧倒的なパワーがわかります。普通の一企業がGoogleと同じ分野やサービスで対抗することは、もはや不可能と言ってもいいかもしれません。しかし、Googleにやられたままというのでは、面白くありません。オープンソースのモデルでGoogleに対抗することは、一つの方向ではないかと思いました。

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