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【Wendy】失敗しないSiebel CRM導入

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基調講演が終わると、21部屋に分かれて並行して行われるセッションが始まります。3日間のセッションの総数は、200を超えます。朝から夕方まで通しで参加すると、昼食の時間がないくらいです。

その中から、「プロにきく!失敗しないSiebel CRM導入 - プロジェクト成功のための秘訣」を聴きました。1日目に参加した中では、このセッションが一番興味深く、私にとって役に立つセッションでした。

Siebel CRM導入プロジェクトの秘訣となっていますが、Siebelにしか使えない話ではありません。他のCRMパッケージの導入や一般的なシステム構築プロジェクトにもあてはまる内容でした。

スピーカーは、日本オラクル カスタマーサービス統括本部 行本真吾氏です。以下は、要約です。

Siebel CRMの導入プロジェクトが失敗する問題エリアは、以下の5つに分類されます。

戦略・経営的

戦略との不整合。部分最適化。各組織の不明瞭な責任。

ガバナンス

不十分なプロジェクト計画。成果物の不足・品質不足。不明確な体制と責任。定量化されていない進捗状況(例 進捗率90%がずっと続く)。

テクノロジー

過度のカスタマイズ。アドオンが増える。拡張性の方針やポリシーがない(要求を積み上げた結果、スパゲティ状態になる)。パフォーマンスの考慮不足。

ビジネスプロセス

ビジネスプランがない(全体効果が出ない)。部分最適化(ある部門/あるユーザのためのシステムになってしまう)。不明確なビジネスプロセス(勝手な運用で効果が出ない)。KPIの定義ができてない。

人的

経営層のかかわり不足(最初だけ関与して、後はメンバーにお任せ状態)。業務部門主導/IT部門主導(業務部門主導が過ぎると要件がふくらみすぎる。IT部門主導が過ぎると必須要件が抜ける。バランスが重要)。旧来のユーザインタフェースにこだわってしまう(次のシステムも前と同じ画面にしようとこだわり過ぎると、外部システムに依存してしまう)。業務部門の参画不足。プロジェクトの要員不足(要件がふくらんでも要員が増えない)。

5つの原因の割合はほとんど同じで、それぞれ20%ずつだそうです。実に8割がテクノロジー(技術的な要因)と無関係なところに原因があることになります。いやー、全くその通りです。どこも同じ悩みをかかえているものですね。

このようなトラブルに陥らないようにするための秘訣を説明していただきました。

戦略・経営的

ビジョンが必要。長いスパンでの展望・目的の共有化。評価可能な目標・メトリクス。各組織の権限・責任の明確化。

ガバナンス

レビューの指標・条件・体制の明確化。フェーズ移行条件の明確化(内容がどこまでできたら次へ進むかを決める)。意志決定の指針・ルール。コンフリクト発生時の優先度の設定(例 納期、機能性、利便性のどれを優先するか決めておく)

人的

経営層のかかわり強化(例 定期的に経営層に報告する)。組織の見直し・最適化。ユーザに対する価値の明確化(企業全体にとってのメリットやユーザにとってのメリットをユーザに明確にする)。ユーザサポートの仕組みとフィードバック(この問題はこうやって解決しますと説明する、ユーザに参画意識を付ける)。チェンジマネジメント推進者の設置(企業全体として推進者が見ていく)

ビジネスプロセス

戦略・目的との一貫性。メトリクス・KPIの設定(測定可能であること、例 収益や顧客維持率)。全体最適なビジネスプロセスの改善・最適化。パッケージのベストプラクティスの最大限利用(パッケージの機能を最大限使う)。

テクノロジー

製品機能の充分な理解(オラクルパートナーだけでなくユーザも理解が必要。例 Siebelのデータベースモデルやオブジェクト概念、等)。高度なカスタマイズを減らす(なるべくパラメータ設定でできる範囲で)。早い段階から常にパフォーマンスを意識する。各種情報の活用(オラクルWebサイトなど、技術者個人以外の情報を活用)

CRM導入の目的は、以下の3つの1つまたは複数です。

課題の解決

例 システム乱立の解決。属人的な業務の改善。グローバル対応。コンプライアンス・セキュリティー対応。

顧客満足度の向上

提案力向上。企業としての応答時間短縮・応答率向上。サービス対応。顧客満足度向上。

収益率の極大化

アップセル・クロスセル。

以下のような場合、失敗するリスクがあります。

当初の目的以外に重点が移ってしまう

例 ユーザのために無理に一画面に全てのデータを納めるようにしてしまう。

CRMではなく業務システムになってしまう

例 契約管理システムになってしまう。

フロントシステムになってしまう

例 既存システムのフロントシステムを構築することが目的になってしまう。

その他

例 過度なユーザインタフェースの要求をする、既存システムのデータモデルやプロセスを踏襲する、等。

テーマがCRMであることを忘れてしまうと、以下の弊害が起きる原因になります。

  • プロジェクトの長期化
  • コスト増大
  • パフォーマンス低下
  • 教育や展開が困難 -- 一人のユーザが使いこなすのが難しくなる

結果、以下のようなことになります。

  • 費用対効果が悪い
  • ユーザが疲弊する
  • 部分最適の繰り返しになる
  • アップグレードが困難になる

このようなことにならないようにするには、将来の展望を描き、フェーズドアプローチ(フェーズ分けして実装していく)にすることが重要です。 iHelpやTask Base UI等のユーザ支援機能を活用することも大切です。

注)SiebelのiHelpは、画面毎に業務の流れを表示して、入力すべきフィールドやボタンの色が変わる。

いかがでしょうか。私自身のこれまでの経験と照らし合わせて、納得することの多いセッションでした。

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