オルタナティブ・ブログ > てくてくテクネコ >

顧客サービスとITのおいしい関係を考える

コンサルタントはSEにならないの?

»

”コンサルタント”は幅の広い意味を持つ言葉です。一言で言えば、ある分野の専門知識を持っていて、個人または会社の相談に応じて、問題点を分析し、解決策を提示する役割の人のことです。名乗るために資格が必要なものではありませんから、自称コンサルタントやなんちゃってコンサルタント、果てはODA(政府開発援助)事業を食い物にする悪徳コンサルタントまでいろいろです。

IT業界に限定すると、会社によっては、プログラマー→SE(システムエンジニア)→コンサルタントの順番で、キャリアパスのゴールになっている場合があります。確かにIT系のコンサルタントになるためには、プログラマーやSEの経験があった方がいいのですが、これは必須条件ではありません。また、コンサルタントとプログラマーやSEの違いは役割であり、どちらがエライ等の上下関係があるわけではないです。SEにはデキルSEとダメダメSEがいますし、コンサルタントにもデキルコンサルタントとダメダメコンサルタントがいます。

それでは、SEとコンサルタントの違いは何でしょうか。私の定義では、”ゲームのルールの範囲内で問題を解決するのがSE、ゲームのルールを変えるのがコンサルタント”です。

例を挙げます。ある会社の社長から、「うちの社員は、就業時間中にインターネットで仕事に関係ないWebサイトを見てばかりいて困る。なんとかならないか。」という相談を受けたとします。どのような提案をすればいいでしょうか。

この時、「それなら、インターネットフィルタリングソフトウェアがあります。仕事に関係ないサイトにアクセスできないようにします。例えば、○○は、(省略)で、価格は○○円です。他には、パソコンの操作ログを記録するソフトウェアもありますよ。□□なら、(省略)できます。」と、システム化ありきで回答するのは、SEの発想です。

コンサルタントは違います。「それはお困りですね。でも、それは、社員の躾の問題ではないですか。社長は社員にはっきりダメと注意していますか。それでも止めないようであれば、減給するなど人事考課で対応すればいいのではありませんか。」これが、コンサルタントの考え方だと思います。

フィルタリングや操作ログの導入には、お金がかかります。導入後は、禁止サイトリストをメンテナンスしたりログを確認したりする担当者や作業時間が必要です。社員に周知徹底するのは、タダですぐにできることです。上の話は一つの例ですが、”最善のシステムを作るのがSEの仕事、可能であればシステムを作らないで問題を解決するのがコンサルタントの仕事”と言ってもいいでしょう。

この定義に従えば、特定のパッケージを売っているソフトウェア会社や、システム構築を仕事にしているSI会社の”コンサルタント”は、パッケージ導入やシステム構築の専門家であって、狭義のコンサルタントではありません。自社のパッケージを売って、システム構築費を頂かないと、商売にならないからです。SI会社のコンサルタントは、「システムを作らなくても、こうすれば解決できますよ。」とは言えません。

システムを発注する方には、自分が名刺交換した相手が何のコンサルタントなのか、よく考えてみることをお薦めします。

Comment(2)