定額給付金は誰の物?
セールスフォース・ドットコムが「定額給付金管理システム」を始めます。定額給付金を給付する事務作業に悩む地方自治体が飛びつきそうです。
いまだに国会で予算が付かずに迷走中の定額給付金制度について、私は効果に疑問を持っています。昨年の秋冬に給付されたならまだしもでしたが、不況確定の今になって給付されても、不要不急品を買ったり旅行に行ったりする気分になる方は、少ないと考えます。結果として、生活必需品の買い物か貯金に回るだけでしょう。
しかも、仮に実施されたとしても、給付は3月後半か4月以降になりそうです。
その頃には、ゴールデンウィーク明けの自動車税納付、6月の住民税納付など、税金関係のイベントが続きます。企業にお勤めの方の住民税は特別徴収で12分割払いと思いますが、普通徴収の自営業等は一括または4分割払いです。けっこう大きな金額です。ますます景気のいい使い方はやりにくくなります。
定額給付金制度に対する私の最大の疑問は、費用をかけて集めた税金を、なぜ費用をかけてまた戻さないといけないのか、という点にあります。
税金の納付と給付金の給付にかかった費用がムダです。国税と地方税の違いはありますが、給付してすぐに税金を集めるなら、給付金を受け取る手間を考えて、最初から相殺しておいてよ、と言いたくなります。しかも、地方自治体で給付にかかる経費の一部は、セールスフォース・ドットコムのような外資系の企業に入ることになります。明確な意図はないかもしれませんが、税金を使って外資系企業を儲けさせるということになります。
米国の景気対策法案に、公共事業で米国製の鉄・鉄鋼製品や一般工業製品の購入を義務づける「バイ・アメリカン」条項が盛り込まれたことで、保護主義への懸念が国際的に広がっています。国際的な責任は重要ですが、非常時に税金を使うなら自国の企業に落ちるような仕組みにすることは自然な発想だと考えます。
費用をかけて集めた税金をさらに費用をかけて給付する、しかもそれで外資系企業が儲かる、定額給付金とは何でしょうか。2兆円あるなら、日本の10年20年先を見越した投資に使って欲しいです。
本当の景気対策は、国民に目先の現金を配ることではなく、この先に安定した収入と生活があると確信できるようにすることだと考えます。