コールセンターを科学する
弊社は、CRM(顧客関係管理)のプロジェティスタを主な業務にしています。SiebelやSalesforceでCRMを知った方は、CRM=SFA(Sales Force Automation:営業支援)のイメージをお持ちかもしれません。90年代にCRMという言葉が出てきた当初は、社内ヘルプデスクや顧客向け電話サポートなどの分野が中心でした。その後、SFA、マーケティング、フィールドサービスなどの分野もCRMに含まれるようになりました。このごろは分析系(BI)もCRMに含まれるようです。
コールセンターは古くからCRMの対象になっている業務です。弊社としても重点分野に位置づけています。以前は電話中心だったためコールセンターと呼ばれましたが、FAX、メール、チャットなど、電話以外のコミュニケーション手段の割合が増えたため、コンタクトセンターと呼ばれることもあります。
皆様はコールセンターにどのようなイメージをお持ちでしょうか。
コールセンターには大きく分けて、電話を受けるインバウンド業務と、電話をかけるアウトバウンド業務があります。
インバウンドの代表的な例は、通信販売の注文受付です。消費者向け商品のお客様相談室もインバウンドの一例です。このブログの読者の方には、パソコンメーカーやソフトウェアベンダーのテクニカルサポート窓口と言った方が、イメージしやすいかもしれません。
アウトバウンドは、コールセンター側から電話をかけます。選挙の時の支持政党の調査や、通信会社のキャンペーンの案内などが代表的です。
大きなコールセンターになると、数百席の規模があります。オペレーター(コミュニケーターと呼ぶセンターもあります)のスキルによって対応できる内容が異なるため、かかってきた電話の種類に応じて適切なオペレータグループに電話をつなぐ必要があります。これを実現しているのが、CTI(Computer Telephony Integration)と呼ばれる、PBXとデータベースを連動させたシステムです。また、インターネット技術を使って、複数の分散したコールセンターに電話を自動転送する場合もあります。日本の電話番号にかけているつもりで、実際には中国のオペレータが対応している等の事例があります。高度で複雑なITが使われる環境です。
コールセンターは人的マネージメントが重要な部署でもあります。相手の顔が見えない電話での応対は、対面で接客するより難しいことがあります。オペレータには常にストレスがかかります。マネージメントの面では、オペレータのシフト勤務計画、モチベーション維持、応対の品質管理、スキルアップ、人事考課など、考慮しなければならない課題がたくさんあります。
このように、コールセンターはテクノロジーと人が複雑に絡んだ興味深い職場です。私は、コールセンターのマネージメントは、サイエンスであり、アートであると考えています。
顧客に直接応対する窓口という意味で、コールセンターは営業と同じくらい重要な部署です。しかし、残念なことに、これまでは、コールセンターのマネージメントについて科学的に考える方法を学ぶ手段はほとんどありませんでした。例えば、営業をテーマにした書籍は数多く出ていますが、コールセンターに関する書籍はほとんどありません。
米国ではコールセンターのポジションが以前から確立されていて、マネージメントの対象として体系化されています。株式会社CCAでは、米国ICMIが提供する教育・研修コースをベースに、さらに日本独自の情報を付加してトレーニングを開催しています。
トレーニングは、以下の役職の方が対象です。
- マネジメント:
センター担当役員、センター長、オペレーションマネジャー等
- ミドル・マネジメント:
スーパーバイザー、チームリーダー等
- スペシャリスト:
トレーナー(教育担当者)、QAマネジャー(品質管理担当者)、アナリスト(分析・レポート担当者)、ワークフォースプランナー(要員計画担当者)、コントローラー(運営企画、リアスタイム要員配置担当者)、ナレッジマネジャー(情報共有/伝達担当者)、HRマネジャー(人事採用担当者)、ファイナンスマネジャー(経理/予算担当者)、ITマネジャー(通信/IT等テクノロジー担当者)、ポリシーマネジャー(法務/規約/CSR/ワークフロー担当者)
私が知る範囲では、コールセンターマネジメントにおける専門的なノウハウを体系的・科学的に習得できる、日本で唯一のコースです。気合いと根性で電話を取るコールセンターを卒業して、コールセンターを科学的にマネージメントしたい方にお奨めします。
トレーニングに参加する時間の余裕がない方や、遠距離にお住まいの方は、株式会社CCAで翻訳して出版した書籍【コールセンターマネジメント 戦略的顧客応対 [理論と実践]】もあります。
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