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顧客サービスとITのおいしい関係を考える

今の仕事をこのまま続けていいか

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IT業界ではここ数年でインドや中国でプログラミングを行うオフショア開発が普通のことになりました。それならオフショア開発を請け負っている会社はずいぶん景気がいいのでは、と思ったのですがどうも違うようです。

先日インド系オフショア会社の日本法人の方とお話しました。

人件費が安い海外のエンジニアを使って、国内で開発するよりコストを下げることができる、というのがオフショア開発のビジネスモデルです。

このところの傾向として、インド人エンジニアの人件費が上がりつつあります。これはその会社には逆風になりますが、それだけではありません。

地方を中心に日本人エンジニアの価格が下がっていて、オフショア開発の価格面での優位性がなくなってきているそうです。単純にエンジニア1人分ではまだ日本の方が高いのですが、オフショア開発では仕様書の翻訳、コミュニケーションギャップ、時差などのオーバーヘッドがかかります。結局トータルコストでは、日本で開発してもオフショア開発と差がない価格になるケースがあるようです。

というわけで、その会社も業績絶好調とは言えないとのことでした。

いつの間にか「世界レベルで同一労働同一賃金」になりつつあるようです。まさにフラット化する世界です。インドや中国と同じ給与レベルで日本で生活するのは、さすがに難しいのではと思います。

ダニエル・ピンク著”ハイコンセプト 「新しいこと」を考え出す人の時代”に、今の仕事をこのまま続けていいか、3つのチェックポイントがあります。

1.他の国なら、これをもっと安くやれるだろうか。
2.コンピュータなら、これをもっとうまく、早くやれるだろうか。
3.自分が提供しているものは、この豊かな時代の中でも需要があるだろうか。

1と2の答えがイエス、あるいは、3の答えがノーだとしたら、あなたが抱える問題は深刻だ。

今の時代を生き延びられるかどうかは、対価の安い海外のナレッジ・ワーカーや、高速処理のコンピュータにもできない仕事をやれるか、そして豊かな時代における非物質的で解しがたい潜在的欲求を満足させられるかどうかにかかっている。
だからもはや、「ハイテク」だけでは不十分なのだ。

IT業界のエンジニアはインドや中国に真似のできない付加価値を付ける必要があります。IT業界の新しいトレンドは今後も米国から来るでしょう。まず必要なのは英語力です。エンジニアだからと言って英語を避けていては、海外のエンジニアと同じ土俵に上がることさえできません。

この春社会人になられたエンジニアの方は、ぜひ英語ができるエンジニアを目指していただきたいと思います。

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トーマス フリードマン 伏見 威蕃


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