クレジットカードの「ステータス」を考える(後編)
一般に、ゴールドカードはステータスがある、と言うことになっています。
ステータスとは何でしょうか。わかりやすさ優先で言い切ってしまうと、
- 高価または希少性が高く、ブランドであると一般に認知されているモノやサービスがある。
- そのブランドを所有またはメンバーになることで、本人が自分自身のイメージに対して満足する。また、そのブランドを持つ財力・資格があることを周囲にアピールする。
- 周囲の人がそれを見て、その人に対して一目置く。本人は自分が一目置かれていることに満足する。
というあたりかと思います。
では、ゴールドカードにステータスはあるのでしょうか。個人的には、今となっては微妙なように思われます。
確かに20年くらい前は入会審査も厳しく、ゴールドカードは持ち家所有などの条件がありました。でも最近では、流通系や信販系などカードの種類も増え、ゴールドカードも乱立気味です。金色であれば全てステータスがあると言えるか疑問です。
近所の食品スーパーのレジで、並んでいる時になんとなく見ていると、奥様の多くはゴールドカードをお持ちのようです。家族会員であれば年齢が若くても持てます。今やゴールドカードはそれほど珍しいものではないようです。ゴールドカードのコモディティ化と言えるでしょう。
では、ステータスがあるクレジットカードはあるのでしょうか。
以前、アメックスは一般カード(グリーン)でも他社のゴールド並のサービスとステータス、と言われていました。しかし最近では、量販店やイベント会場に販促ブースを出して、会員募集しているのは事実です。高いブランドイメージにはマイナスです。
アメックスもそのへんはわかっていて、ゴールドの上にプラチナとかブラック(センチュリオン)とかのカードを出しています。さすがにプラチナやブラックは入会条件が厳しそうです。ステータスと言えるでしょう。と言っても、プラチナやブラックをお持ちの方にお会いする機会がありませんので、私は見えないものは気になりません。
もう一つ、ダイナースクラブがあります。ダイナースクラブは、米国で設立された世界最初のクレジットカード会社です。日本では、大企業の役員クラスなど敷居の高い入会条件を売りにしていました。
ただし、実は昔から一部の会社では、その会社に勤めているだけで新卒の新入社員や契約社員でもあっさり入会できたのです。一時期、私も持っていました。ですから、私はダイナースクラブに特別のステータスを感じません。
なお、ダイナースクラブは2000年にシティコープに買収された後、入会基準が緩めになったようです。また、上級カードとして、ダイナースクラブプレミアムカードがあります。
今や流通系のカードは大学生でも入会できます。クレジットカードは特別なものではなく、日常の道具になっています。今の20-30代の方は、ゴールドカードにステータスを感じるのでしょうか。
クレジットカードの元々の機能は、会計の時に現金が要らないということです。単に支払い手段としてなら、最近はEdyやSuicaなどの電子マネーやクレジットカード機能内蔵のお財布携帯があります。金色のカードの形をしている必要はなくなりました。
ゴールドカードにステータスを感じるのは、入会審査が厳しかった当時を知っている40代以上の年代なのかもしれません。
もしかすると、ゴールドカードよりもお財布携帯で払う方がオシャレ、ということになるのかもしれません。
将来、「接待やデートは、このブランドのお財布携帯で払うのがステータス」になっていたりする可能性はありますね。