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顧客サービスとITのおいしい関係を考える

Windowsよりも薄型テレビ

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日経新聞の3月6日朝刊に《「ビスタ」商戦 出足は鈍く》という記事がありました。《パソコンメーカーや量販店は「低迷するパソコン販売回復の起爆剤」と期待していたが、発売直後に購入したのはパソコン上級者が中心だったようだ。》という内容です。

パソコンメーカーや量販店の方には申し訳ないですが、私は、Windowsの新バージョンが出れば家庭用のパソコンが売れる、という発想そのものに疑問を持っています。なぜなら家庭ユーザの「既存資産」を考えていないからです。

Windows 95が発売されて約10年が過ぎました。記事にもありますが、パソコンの世帯普及率は8割を超えています。パソコンが携帯電話に比べ日常生活での必要性が低く、個人的なものでもないことを考えると、世帯普及率8割は必要な家庭にはほとんど入ったものと考えられます。これから先は、買い換えか買い増しになるでしょう。

Widows 95の発売当時はどこの家庭でも初めてのパソコンであったのに比べ、今や家庭ユーザには既存資産があります。既存資産とは、

  • 今まで使ってきた周辺機器
  • 使い慣れたソフトウェア(Windows自体を含む)
  • パソコンに溜まったデータファイル

です。家庭ユーザが移行の費用と手間をかけてまでVistaに移行する理由を見つけることは難しいでしょう。Windows XPのユーザは現状に特に不満はないはずです。

それではWidnows 98以前のユーザが一気に買い換えるかというと、これも時間がかかりそうです。Windows 98のサポート終了は、家庭ユーザにはある意味どうでもいいことです。パソコンを買い換える理由にはなりません。

家庭ユーザはmixiやヤフオクを楽しんでいるのであって、もともとWindowsを使っているという意識はあまりありません。そのmixiやヤフオクでさえも、最近は携帯電話しか使わないという層も増えています。多くの家庭ユーザはマイクロソフトの決めたサポート期間に関係なく、パソコンがダメになるまで使うと思います。

パソコンは買い換えてもパソコンでしかありません。すでに家にパソコンがあるのだから、お金の余裕があれば次は薄型大画面テレビを買う、というのが家庭ユーザの自然な発想でしょう。

Windowsの新バージョン発売をカウントダウンで祝う時代は遠くなりました。

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