オルタナティブ・ブログ > てくてくテクネコ >

顧客サービスとITのおいしい関係を考える

誰がために君はある? (1)

»

少し前になりますが、取引先の人といっしょに和風居酒屋に行きました。居酒屋と言っても大きなオフィスビルに入った広い店で、客単価で5,000円程度のチェーン店です。

この店ではテーブルの上にオーダー端末が置いてありました。ノートパソコンの液晶部分だけを取り外したような形で、客が自分で画面をタッチして料理を注文すると、無線で調理場に届くという仕組みになっています。最近ではファミレスや回転寿司でよく使われているようです。

夜の居酒屋のような業態にセルフサービスのオーダー端末はどうかという疑問はありましたが、実物を見るのは始めてだったこともあり、何事も経験というわけでおもしろがって使ってみました。

ところが、いきなり困ってしまったのです。

端末の画面には料理の写真も表示されていました。でも液晶画面の色味や解像度はメニューとして使うには無理があります。食欲をそそるおいしそうな写真を見せて注文してもらうためには、このレベルの小さくて汚い液晶ではダメなのです。

一方、テーブルには紙に印刷・製本された普通のメニューが置いてあります。こちらはプロの写真家が撮った写真と思わず注文したくなるようなこだわりの説明書きが載っています。当然、紙のメニューを見て料理を決めることになったのですが、注文したい料理をオーダー端末に入力しようとして問題が起きました。

端末の画面の上部には、逸品、お薦め、サラダ、揚げ物、焼き物、食事、飲み物などの項目一覧が並んでいます。さらに料理が多い項目は、逸品1、逸品2のように複数に分かれているのです。ディレクトリ・階層型の並び方です。

オーダーするためには、まず項目を選ばないと料理が表示されません。ここで「○○サラダ」を頼みたいのであれば、サラダの項目を選ぶというのは誰でもわかります。しかし、例えば「函館イカ飯」はいったいどこの項目に分類されているのでしょうか。逸品1なのか、逸品2なのか、お薦めか、それとも食事でしょうか。

こうして私たちは、微妙な区分の料理を注文する度に、画面を行きつ戻りつして目的の料理を探し回ることになってしまったのでした。

Comment(0)