「国の借金が大変だ」という議論は、本当に正しいのか
「国の借金◯◯兆円」というニュースは定期的に話題になります。
https://news.yahoo.co.jp/articles/dd75ef65887d5e6404e0ddcf8bfdd9b2fc82b67e
もちろん、財政やインフレリスクを軽視するべきではありません。
一方で、この議論にはかなりミスリーディングな部分もあると感じています。
まず重要なのは、日本は「自国通貨建て国債」の国だという点です。
つまり、日本政府の負債は基本的に円建てであり、外貨建てで返済義務を負っているわけではありません。アルゼンチンのような外貨不足型の財政危機とは構造が異なります。
さらに、「国の借金」という表現も正確ではありません。
実態としては「政府の負債」であり、その裏側には国民・企業・金融機関の資産があります。
政府が国債を発行すると、民間側には金融資産が積み上がる。
つまり、政府負債だけを単独で見ても全体像は見えません。
加えて、政府負債は日本だけが増えているわけではありません。IMFのWorld Economic Outlook Databaseを見ると、世界中の主要国で政府負債は過去最高水準にあります。
https://www.imf.org/external/datamapper/GGXWDG_NGDP%40WEO/OEMDC/ADVEC/WEOWORLD
また、IMF Global Debt Databaseでも、コロナ対応や高齢化、安全保障コストなどを背景に、各国で政府債務が構造的に拡大していることが確認できます。
https://www.imf.org/external/datamapper/datasets/GDD
実際、2001〜2023年の政府負債増加率を見ると、日本はむしろかなり低い部類です。イギリス、アメリカ、フランスなどの方が高い伸びを示しています。
つまり、世界的には、
・金融危機対応
・コロナ対応
・高齢化
・安全保障
などによって、「政府負債拡大」はある意味で標準化している。
その中で日本だけを特殊視して「破綻寸前」と語るのは、少し単純化し過ぎている気もします。
もちろん重要なのは、「借金が多いか少ないか」だけではありません。
本当に見るべきなのは、
・その資金がどこに投資されているか
・生産性向上につながっているか
・人的資本や技術投資に向かっているか
・インフレや通貨信認とのバランスはどうか
という点です。
個人的には、「国の借金」という恐怖訴求だけで議論するより、
「何に投資し、どう成長を作るのか」という未来側の議論の方が、今後ますます重要になると感じています。