人はなぜ騙されるのか(ロジカルに考えても騙されるワケ)
先日私の友人から、こんな話をききました。
「2020年は、誰もが生まれた年(西暦)+ 年齢 = 2020 になるそうです。
今後、この結果になるのは 1000年先の 3020年だそうです。」
っていう記事を読んで、へー!って思って、2020年と3020年を検証したら
確かにその通りになるって思って、すごーい、と思ったら・・・
冷静に考えたら、毎年そうやん、って。あやうく騙されるところだった。
おー。このネタ、頂き。本人の許可をとって、ブログに載せることにしました。
ロジカル・シンキングの「穴」
ちなみに私は1968年生まれ。今年で52歳です。
で、言われたことを検証しようと思って、1968 + 52 を計算したら、確かに 2020 になります。おー。
で、3020年は? 1000年後、私がもし生きていたら 1052歳。デーモン閣下じゃないんだから生きているはずはありませんが、1968 + 1052 = 3020。おー、確かにその通り。
ロジカル・シンキングの世界だと、これでおしまいです。論題が正しいことを検証し、正しければその論題は「論理的に正しい」となります。
しかししかし・・・この
「2020年は、誰もが生まれた年(西暦)+ 年齢 = 2020 になるそうです。
今後、この結果になるのは 1000年先の 3020年だそうです。」
に隠されたもうひとつの意味を捉えないと、誤った結論になってしまいます。これ、本当に正しいのでしょうか。
ものごとをクリティカルに考える
「クリティカル・シンキング」は、直訳すると「批判的思考」。誤解を恐れず言えば、ものごとを疑ってかかろう、という考え方、概念です。しかし、猜疑心のかたまりになれ、とか、人を見たら泥棒と思え、とかいう意味ではありません。論理の筋道を疑い、誤ったスタートを切ったり、誤った結論にたどりついたりしないようにしましょう。という意味です。
クリティカル・シンキングで疑うべきポイントは3つ。
- 論点、大前提を疑う
- 論拠と論題との繋がりを疑う
- 最終的な判断を疑う
さて、さきほどの
「2020年は、誰もが生まれた年(西暦)+ 年齢 = 2020 になるそうです。
今後、この結果になるのは 1000年先の 3020年だそうです。」
を考えます。この文には、ある暗示が含まれています。「この結果になるのは 1000年先」という部分です。これは聴く人に「2021年から3019年は、生まれた年+年齢=その年の西暦 にならない」ということを暗示しています。そう明言していないけど暗示しているのです。聴く側の人が勝手に
と思い込んでしまいます。これが怖い。
で、実際には?例えば2021年は、私の場合、1968 + 53 = 2021。
なんだ、2021年もちゃんと生まれた年+年齢=西暦年 になります。というか、それ、当たり前です。私の友人もあやうく騙されかけ、「いや、まてまて」と 1968 + 53 = 2021 を検証して、毎年そうやん、となったわけです。
下手に2020年と3020年のみを検証して「そうなる」からといって、この論証が正しいと結論付けるのは早計です。2021年や2019年なども検証して「そうならない」ことを確かめ、暗示されている論点に関しても確認しておく必要があります。それがクリティカル・シンキングの姿勢です(それだけじゃないけど)。
例えば・・・
ウチのツボを買った人は、みんな幸せになっています。
A町のXさんも、B町のYさんも、C町のZさんも、ツボを買った人はみんな幸せです。
さぁ、あなたもどうですか?
といううさんくさい宣伝、色々なところで目にします。百歩譲って、XさんもYさんもZさんもみんな幸せになっていることが事実だとしましょう。しかしここには「ツボを買わないと幸せになれませんよ」という暗示が込められているとしたら、どうでしょうか。これにちょっとしたホラーストーリー、たとえば
新型コロナ!経済不安!失業!
人生不安なことばかり。一寸先は闇。
そこでこのツボ!
みたいなのを加えると、多くの方が暗示にかかってしまいます。
書いてあることが正しいとしても、安心してはいけません。クリティカルな思考をもって、暗示にかからないように注意しましょうね。キーワードは「いや、まてまて」です。
おまけ
ある人に言わせると、人を騙すためのテクニックは大きく3つあるそうです。
- シンプルにする
- 驚きを含める
- 本当のことを混ぜる
みなさん、くれぐれも騙されませんよう・・・