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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

「セミナーで一番後ろに座るのはなぜなんだろう?」問題について考える

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現在、8月末の「キャリアコンサルタント試験」に向かって勉強中です。4月は毎週土曜日4週連続で、受験資格を獲得するための講座に通っていました。

この「キャリアコンサルタント」という資格、現在10団体が認定しているのですが、それを「国家資格」化する動きがあるそうで、そうなると、現在の試験制度は平成27年度(2015年度)で終わる・・・・・そんな事情があるためか、例年に比べて受験者数が増えているようです。講座も駆け込み受験者が多く、どの講座も満席。増席して!増設して!という声が多数寄せられたとか・・・。

そんな事情は露知らず、単に、「そろそろ受けるか」と思い立った私は、講座通い始めてからそのことを知って、「あら、一発勝負なのね」と愕然としているわけですが、その話は置いといて。

状況が状況なだけに、クラス、満杯だったんです。4月の講座。120人以上いたんじゃないかと思います。

9時半開講で、9時過ぎには入室できました。私は、こういう時、たいてい、2列目の真ん中よりちょっとずれたあたりに陣取ることにしています。
1列目ではないのは、古くは、「チョークの粉が飛んでくるから」でしたが、そのほかあまりに前過ぎるとかえってホワイトボードが見えない、とか、講師のツバが飛んでくる、などの弊害もあるからです。真ん中よりちょっとずれた場所に座るのは、

●スクリーンが見やすい

が一番大きな理由です。

さて、さて、

150人は入りそうな大会場。9時半ぎりぎりにやってくる人も多いのですが、私のように早ーくからやってきて入室する人もいらっしゃいましたが、ここで面白いことが起こるのです。

ほぼ一番乗りなのに、最後列に座る人が必ずいるんです。

5列くらいの最後列ではなく、100人以上もいる、たぶん、15列目くらいに座るのです。早く来ているのに。

ホワイトボードは小さくて、おそらく、後ろでは文字が見づらいだろうと思います。講師の顔もよく見えない。ほかにも、階段教室ではないため、前の人の頭が重なって相当受講には向いていない位置取りじゃないかと思うのですが、それでも、最後列に座る人が少なからずいる。

遅れてきてそこしか空いていなかったというのならわかるのですが、最初からそこ狙いで座る。

これ、どういう意味なんだろう?と不思議なんですね。

そういえば、4月に参加した「認知行動療法」の勉強会でも同じことを感じました。
これも日曜日に開催され、どう考えても皆さん個人の費用で参加していると思われるセミナーだったのですが、それでも、50人のクラスの一番後ろに陣取る人がいる。
このセミナーは、受講するのに、医師、看護師、臨床心理士、産業カウンセラーなど何等かの資格保持者であるという前提条件があったのですが、そういう専門家集団であっても後ろに最初から座る人がいる。

あれは、どういう心理なんでしょう。

講師の立場になるとわかるのですが、教室に入って来られて、前が全部空いているのに最後列に座られると、非常にがっかりするんですね。

そんなに嫌なのかなぁー。
遠いんですけどー。

そんな風に思うため、教室の大きさと人数が合っていない場合は、最初から、後ろの席には教材などを置かず、前から数列以内に全員が座ってくださるように工夫することもあります。

「テキストが置いてある場所におかけください」と促しても、テキストのない一番後ろに座る方が、それでもいらっしゃる。

うん。この心理、不思議です。

考えられることは、

●受けたくない
●上司に無理やり行ってこいと言われた

といった「モチベーション」に関するものか、
あるいは、

●真後ろから、全体の様子を俯瞰したい

という理由か・・・。

前のほうに座ったほうがいいと思うんですよね。その方が得るものが多くなるし、講師もモチベーションが上がって、いつもよりサービスするんじゃないかと思います。(とっておきの事例を紹介したり)

そういえば、以前、ある企業の部長にこんな風に言われたことがあります。

「部のキックオフの時、大きなセミナールームにメンバ全員を集めると、後ろから座るんだよね。で、前の方が2-3列空いている。遠くの方に座っている部下に話をするだけで、落ち込んでしまう。前に来て、と促すんだけど、なんで、後ろから座るんだろう。話す側のモチベーションを考えるってことも聴く態度として大事だと思うんだけど。だって、コミュニケーションは相互作用だから」

なるほど。これもわかります。

まあ、上司のプレゼンがヘタだから、とか、企業によっては、座る位置と企業内の序列が如実に連動していて、下手な場所に座れないなどあるでしょうけれど。
そういう制約がないなら、前のほうから座って、プレゼンターをその気にさせるというのも大事だと思うのです。

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書いている内にいろんなことを思い出してしまいますが、以前、記者をしている方に聴いた話。

「新米記者のころ、記者会見などの取材に行く際、先輩に、"わからなくてもいいから最前列に陣取れ!"と強く言われた。聴く姿勢、どんな情報でも漏らさず聴いてくること。やる気を示すこと。いろいろ意味があるけれど、最前列を確保、というのは大事だと叩き込まれた」

なるほど。表情の微妙な変化や小声で思わず何か漏らしたことなんかも最前列にいたらGETできますしね。



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