最初の1歩
(質問)自己紹介をお願いします。
よろしくお願いします。熊沢です。(株)ソーシャルインパクト・リサーチの代表パートナーをやっています。昨年10月に会社を設立しました。
(質問)どのような事業をおこなっていますか?
もともとは、会社名の通り、ソーシャルなインパクトを可視化できる方法論を提供し、リサーチする会社、そのソーシャルインパクトを高めるコンサル会社として設立しました。このソーシャルな時代には、企業もお客だけでなく、他の様々な社会のステークホルダーへの影響を考えないと最適な意思決定ができなくなったという認識からです。
現在は、ソーシャルプロジェクトのコンサル(8件)、内閣府助成のソーシャルメディアプロジェクト運営、内閣府の社会的企業人材育成プログラムを受託、及びプロボノマッチングなどです。ソーシャルという点では、企業のソーシャルメディア活用という面と、社会起業家支援のソーシャルという2つの面で関わっています。この2つの分野は相性がいいですから、自然と融合してきています。
(質問)会社設立前はどのようなご経歴ですか?
93年に上智大学を卒業して、ベンチャーキャピタル大手のジャフコに入りました。その後、97年〜99年に慶応大学院に行かせて頂きました。ゼミは国領先生で、ちょうどインターネットがアメリカで立ち上がった段階だったので、「ネット時代の新しいビジネスモデル」について研究しました。99年にジャフコに戻ったんですが、当時はネット投資に消極的すぎたのですぐに辞めて、99年8月からソフトバンクインターネットファンドをファドマネジャーとして運用しました。5ヶ月くらいで120億円をネット企業へ投資しました。
2000年4月にウィットキャピタル証券で上場株アナリストになりました。インターネットに特化したアナリストとしては日本で初めてだったと思います。後は、HSBCの投資銀行部門、三菱UFJキャピタルという日経のベンチャーキャピタルという経歴です。
(質問)読者に何を伝えたいですか?
グログの題名は「ソーシャルメディア・マニフェスト」です。日本のソーシャルメディア業界のデファクトをつくっていきたいと思っています。
日本のソーシャルメディア情報はアメリカの受け売りが多く、自分の頭で考えるプロセスを忘れてしまっています。セミナーにたくさん行ってアメリカの事例を聞いても勉強だけで終わってしまっています。
例えば、ペプシのリフレッシュプロジェクトにしても、日本では成功事例として紹介するコンサルタントが多いですが、分析してみると大失敗だったことが分かります。というように、受け売りですと、本当の原因がわからないから自分のプロジェクトに活かすことができないなどの問題点が多いんです。この部分をまず変えることが第一歩です。
後、ソーシャルメディアは投資として捉えるべきなんです。投資ですから、当然、ROIを測るべきなんです。この「ソーシャルメディアROI」の方法論がまだまだ未熟な気がしています。コンサルタントも、目標設定が重要です、成果を測ることが重要ですと口では言うんですが。実際どの指標をどう使うべきかになると口をにごらせるというのが現状なんです。
また、ソーシャルメディア時代のウェブ戦略がますます重要になってきましたね。この部分はチャレンジングでもあり、すぐに結果が出せるので、新しいフレームワークを提示していきたいですね。これは、前述のソーシャルメディアROIとも絡む話ですから。
私のブログでは、これまで800億円の投資経験に基づいた、私独自のパースペクティブを提供したいと思っています。だいぶ、お金をかけて、自分自身の投資、実験することができましたから(笑)。「ソーシャルメディアのポテンシャルをリアライズする考え方、方法論」をご提供します。
後、ソーシャルメディアで何か新しいことやりたいんだけど・・みたいな問い合わせがいまだに多いですが、そもそも、問い自体が間違っているんです。最初の1歩からして失敗への道を歩んじゃっているんです。正しい問いは、「自分の会社の情報資産を最大化するにはどうすべきか?」をまず問うべきなんです。どんな事業、どんな業種の会社もソーシャルメディア時代においてはメディアカンパニーの側面がありますから、まずは自分の事業の定義をはっきりとさせるべきですね。
(質問)特に今感じていらっしゃることは何ですか?
震災後、ボランタリー経済とマネタリー経済がますます融合しはじめたと思っています。自分の会社としてはこの2つの経済圏の連結器の役割を果たせればいいな、と思っています。このセクターが今後10年日本で最も成長するダイナミックな市場になると思っています。というか、資源制約のもとではこの部分しか伸びようがないと思っています。欠けているのは、その方法論なんです。この部分で、日本社会に貢献できればと思っています。
本日は、ありがとうございました。