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ソフトウェア製品開発現場の視点

「ソフトウェア開発=モノ作り」と考えない大きな過ち

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日本のモノ作りが、世界での競争力を失っていく中で、ソフトウェアへのシフトするべきだと言う論調の記事を見かけます。しかしながら、モノ作りとソフトウェアを対立するものと位置づけること自体が、日本でのソフトウェアに対する偏った認識を表しています。ソフトウェアは、コンピュータ上のデータですので、それ自体を見ることはできませんが、ソフトウェアを作るということは、モノを作ることと本質的に変わりません。これは、インターネット上のサービスを提供しているソフトウェアでも全く同じです。

ソフトウェア開発における重要な役割に「プロダクトマネージャ」という職種があります。ソフトウェア開発においては、日本ではあまり聞かない職種です。プロダクトマネージャは、マネージャというタイトルで管理職のように見えますが、管理する対象は人ではなく、「プロダクト」です。プロダクトマネージャは、「プロダクト」のプラン、スペック、開発、マーケティング、リリースまで、すべてを包括して責任を持つ総責任者です。「プロダクト」を日本語では「製品」と訳しますが、それは正確ではありません。インターネット上のサービス開発は、プロダクト開発であり、プロダクトマネージャの役割に「製品」開発との違いはありません。自動車開発でも、各社ごとに呼称は違いますが「プロダクトマネージャ」という役割を持った人がいます。ソフトウェア開発において、日本に「プロダクトマネージャ」という職種がないということは、ソフトウェア開発をモノ作りと認識していない証拠の一つです。

モノからソフトウェアにシフトするというのは本質論ではありません。まず、「ソフトウェア開発はモノ作りである」という認識に立ち、ハードウェアというモノからソフトウェアというモノにシフトする、またはハードウェアとソフトウェアを組み合わせたモノを作ることが必要です。そのためには、ソフトウェアプロダクトを作ることができる人材を育てることが最重要課題だと思います。

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