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ソフトウェア製品開発現場の視点

発想の転換を教えてくれた本

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社会の変化が激しくなって、従来の方法を変化させずに継続させることが、必ずしも正しくないという意識を持つ人が増えてきている。オバマ大統領が言うように CHANGE が必要な時代になってきたとも言える。とはいえ、変化させるにはエネルギーがいるし、できれば今のままでいるほうが楽であることは確かである。

CHANGE には、発想の転換が必要である。言い換えると、これまでの常識を疑ってかかるということである、私は幸いなことに、子供の頃に発想の転換の重要性を教えてくれた本に出会った。人生に大きな影響を与えたと言っても良いその本は、東京未来大学学長でテレビにもよく出演されている多湖輝先生による「頭の体操」シリーズである。

調べたところ1966年に最初の版が出ているが、1967年発行の第1巻の第120版から第5巻までが今でも手元にある。引っ越しのたびに古い本はほとんど整理してきたが、「頭の体操」だけは、もう結構くたびれてきているにも関わらず、捨てられずに持っている。

人によっては、答えを見て「ずるい」という反応がでることもあるクイズであるが、最初に読んだときから違う発想の解答に感心していた。一番印象的な問題は、通り抜けができない迷路の問題である。その迷路には入り口と出口の間をつなぐ道がなくて、迷路を通り抜けようと思っている限り答えは出ない。がんばってもできないので、あきらめて解答を見ると、迷路を迂回する道が解答として書かれている。人によっては、その解答をみて「ずるい」というわけであるが、よく問題を読み返してみると、どこにも迷路を通り抜けろとは書かれておらず、入り口付近の A 点から出口付近の B 点に行くことが目的になっているというわけである。最初に迷路を迂回することを思いつく必要はなく、どうしても通り抜けられない状況のときに、あらためて違った発想で考えたときに解答にたどりつくという、現実社会で求められる発想の転換の本質を教えてくれる良い問題である。発想の転換が必要なときに、多くの示唆を与えてくれる「頭の体操」シリーズであるが、あまり読みすぎると、「ひねくれ者」と言われるようになるという副作用があるので、読みすぎには注意した方が良いかもしれない。

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