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ソフトウェア製品開発現場の視点

仮想と現実の融合 - 航空機の世界

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コンピュータの技術が発達したことで、現実世界とは別の仮想世界を作るということが可能になってきた。その最たるものの一つは、最近話題が少なくなってきているが、Second Life である。航空機の世界では、訓練コストの面からフライトシミュレータという仮想世界を作ることが、かなり早い段階から行われてきた。仮想世界では、現実では危険すぎてできないような訓練ができるというメリットも大きいようだ。

コンピュータの利用という意味では、かなり先進的な航空機の世界で、仮想世界と現実世界を融合させるような製品が出てきた。いくつかの会社がすでに発表しているようだが、GPS 機器のトップメーカーの一つである Garmin 社が4月に発表した SVT (Synthetic View Technology) という製品を紹介する。

Cessna 旧来の航空機の計器は、ここに示す写真のようなものが標準的なものであった。計器がたくさん並んでいるようだが、基本は、飛行機の位置と姿勢と飛んでいる方向(上下方向も含めて)とスピードを示すものである。これらの計器は、コンピュータを使わずに、気圧やジャイロという単純な物理法則で動くように作られている。
このような計器がコンピュータが発達した1980年台くらいから新しいものに置き換えられてきた。

 

Cessnaskyhawkpanel 1980年代くらいから使われ始めた計器がここに示す写真である。旧来のたくさんの計器が、基本的に2枚の LCD パネルに置き換えられてしまった。ここで使っている写真は、Garmin 社が小型飛行機用に販売している製品である。LCD に描画をするためにコンピュータを使っていたり、情報量が増えたりしているが、基本的な情報は、旧来の計器と大きく変わっていない。

 

G1000mg この写真は、Garmin 社が4月に発表した製品である。斜めからの写真なので、若干わかりにくいが、この新しい製品では、計器板上にたの情報とオー場ラップして地形が表示されている。ゲーム用の Microsoft のフライトシミュレータにも世界中の地形データが入っていて、コンピュータ上に表示できるが、フライトシミュレータと同じようなものが、実際の製品の中に取り込まれてしまった。高度が低すぎたりして山にぶつかりそうなときには、山の画像が赤くなって注意を促すようになっている(次の写真)ので、極端な話、パイロットは外を見なくても操縦できるようになる可能性がある。実際には、実現するまでにはもう少し時間がかかると思うが、技術はここまできているという驚きを持って発表の記事を読んだ。

 

G1000svtmg ※ 山に衝突の危険があるときの画像(山が赤くなっている)

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