エスカレートする雑誌の「楽しいオマケ」は、いったいどこまで行くのだろうか?!
どれくらい昔のことだったか、今となっては、ほとんど覚えていないが、、月刊誌など、雑誌の付録には、「いろいろうるさい規約」があったはずだった。小学生向けの月刊誌等に、組み立て式の楽しい玩具の類が「特別付録」なんて宣伝されて入っていたことを記憶している。しかし、全ての付録の素材が、少し厚いボール紙を含む「紙」または「セロファン」などであったと思う。たった1本のリベットやネジをつけるにもいろいろクリアしなければならない問題があったようだ。もちろん、この辺りは筆者などより、出版関係に長く生息している人の方が何百倍も熟知しているだろう。
そんな、月刊誌やムック等、「書籍の付録」が大きく変化したことに、実はITが多少関係している。やはり、定かには覚えていなのだが、某国際事務機器公司が、当初はシアトルの某社と共同開発をしていたが、何かのきっかけで決裂し、前社が単独で次世代のクライアントシステムのフロントエンドを世に問うた「OS/2」がその大きな出版変革を引き起こした張本人だ。1990年前後だったと思うが、フロッピーでは配布不可能な大容量のOS/2のトライアル版CD-ROMを某雑誌社が、目玉の付録としてつけようとして、当時あった、多くの小うるさいハードルをクリアしたことが、「書籍のオマケ革命」の発端だ。
その後は、ご存じの通り、CPU付きのムック誌など、IT系雑誌から「付録戦争」に火がついた。出版業界オマケ競争は、昨今の女性誌に見られる「化粧品サンプル」付きや、「トートバッグ付き」の創刊記念号など、もう止まるところを知らない。男性誌も負けている訳では無く、人とモノの「フィギュア系オマケ」のmonoマガやブルータス、casa等が後に続く。なかでも爺版DIMEとも言える月刊誌の「ラピタ」は、なかなか過激で、新幹線の実走モデルや、グリコの様に昭和三十年代のレプリカオンパレードだ。そんな「ラピタ」が、遂に、万年筆の縮小復刻実働モデルを付けた。
「檸檬」(レモン)と呼ばれる万年筆がそれだ。老舗の「丸善」が以前、数量限定で発売して見事完売した幻の人気万年筆の縮小レプリカだそうだ。多少、自己陶酔気味ではあるが、実際の11月号の付録になるまで、ラピタ誌上で4回もその復刻プロジェクトを連載するという気合いの入れ様だ。見方によれば、編集部と一部の万年筆オタク、ビジネスパートナーである丸善の「マッチポンプ的お遊びプロジェクト」だとも言えるが、遊びは最高に大切だ。超フレキシブルなWEB出版やお店に出向かなくても何でも購入できるeビジネスの世界が蔓延し過ぎた現代社会を見ていると、へそ曲がりの筆者など、こちらを応援したい気持ちになってくる。
たったワンクリックで、何でも購入出来る「eビジネス」の世界でも、実際の注文商品は、地べたを走って自宅まで早くても1日前後かけてやっと届くという「入力・出力の恐ろしいアンバランスの世界」なのだ。本当のeビジネスは、SF映画の「フライ」(ハエ人間)に登場するような、物体の瞬時転送装置が実現した時、初めて完成するのだろう。タイムリーだが手で感じることの出来るオマケが皆無のWEB出版の世界と、インターバルだが、指先の感触で感じることの出来る楽しいオマケ付きの雑誌の復活バトルにこれからも期待してゆきたい。たとえば、「iモードケータイ」付き国内専用ビジネス書籍、銀座夏野のお箸付き和食グルメガイドブック、「専用靴べら」付きシューズ・マニアブック、米国でほとんど役に立たない電波腕時計付き勝ち組グローバルビジネスムック、そして、いつかは出て来るか「日の丸Visionaire」。皆さんならどのような『オマケ』の付いた月刊誌が欲しいですか?。。。。