パクチーの好き嫌いは別にして、バンコク旅行で考えたこと。。。
生まれて初めてタイのバンコクに行ってきました。最初は、多くの文豪が泊まったという「オリエンタル」ホテルに泊まってゆったりするだけが目的でしたが、実質的には、来る日も来る日も毎日の様にホテルを後にして、遺跡の見学やら、ショッピングの毎日で、灼熱のバンコクを味わってきました。学生の頃からよく知っているハワイとは全く違うモンスーン気候で、汗だくの毎日でした。ゆったり旅行は2度目のトライからになりそうです。
タイやバンコクの観光事情に詳しい人は山ほど居ると思うので、その辺りはお任せして、筆者が何より驚いたのは、お客相手の商売の人達の「スマイル」にかける気迫でした。それがトレードマークになっている程、有名なオリエンタルの従業員の「ベスト・スマイル」は別格としても、ブランド品を扱うお店や、超破格のお土産物を販売するお店の従業員も基本的には「スマイル」が売りです。
まあ、そう言うことに慣れていない国内のコンビニやファーストフード店で、「いらっしゃいませ、こんにちは!」と言われて、満面の笑みを見せられても不自然さは拭えないが。。。でも、いつの頃か、国内のモノを売るお店からスマイルが消えていないか?との疑問は残るような気がしてならない。これが全てハイテク技術による合理性の結果とは思わないが、買い物をする時の会話であるコミュニケーション・タイムや、価格を値切るときのネゴシエーション・タイムは極端に減っているのだろう。
筆者も、毎朝、国内珈琲チェーン店で、毎週木曜日に買う珈琲クーポンを差し出すだけで、ほぼ何も喋らずに、目的の珈琲を手にして店を出ることが出来る雰囲気に慣れきっている。日本国内に居るときは、見ず知らずの他人と口を聞くことは少ないが、ここ4~5日、殆ど言葉も通じないバンコクの人とお互いが母国語では無い言葉で、日本の何倍も話したというのが実感だ。
珈琲回数券に始まり、定食のプリペイドカード、POSで目覚め、SUICAで進行し、Eビジネスで完成したかのように思えるNo Conversationの世界はこれから先、どこまで行くのだろうか?。既に、多くのオプションの中から最適のモノを選択するという、本来はコミュニケーションが必須であろうと思われるセレクションまで、容易に出来るまでITシステムは進み、もはや日本人は口を開く機会をどんどん喪失しているかのように思える。
バンコクツアーはともかく、帰路の京成スカイライナーの車内で、バンコク帰りの女性二人組をナンパしている男性二人連れと、隣り合わせた。 手を変え品を変え、アプローチしているが、どうも上手く行っていない雰囲気だ。女性陣は、初めは女子大生くらいに思えたが、既に20代半ばだということが話の内容から理解できた。
タイにも行ったことがあるという男性の一人は「アンコールワットが良かった!」と言い。片方の女性は、「次はドバイに行きたい!」と曰い、「それって中東?」と男性。「アラブ首長国連邦」っていう国なの。。。と別の女性。まず話の進捗内容から想像するに、上手くナンパできたとは思えないが、上野到着を待たず日暮里で下車した筆者には本当のところはわからない。
しかし、ナンパは、日本に残った他人同士のコミュニケーションの最後のパターンなのかもしれない。きっと近い将来、ナンパも、所得証明や、職歴、ナンパ歴などが記録されたIDカードとの提示で、条件を瞬時に判断されたりするのだろうか?。ケータイに搭載したCPUのMIPS性能で、ナンパの確率が上昇することもあるだろうが、いよいよ、口先に全知全能を集中して行う楽しい会話タイムも意味を持たない淋しい世界の到来だ。ITの将来像を考える時、「便利」という自明の目的に加えて、人同士の「コミュニケーションが必須」であるという目的をも考えないと駄目なのかも知れない。