Dell-EMCの買収による競争環境の変化とは？
DellとEMCの合併が発表されました。空前の金額で買収金額は８兆円近く！！
これをみて、「ふーんそうなんだ。彼らの営業体制とか、技術支援体制とかどうなるんだろう」ぐらいしか思わないSI業界の方は要注意です！！
これはマクロ環境が大きく変化している兆候を表しています。
2010年以降の10年はSI業界にとっては大きな転機になると思います。その理由を詳しく見てみましょう。
2010年以前と、それ以降をPEST分析と５F分析で見てみると以下のようになります。
PEST分析は、政治、経済、社会、技術の観点からマクロ環境を分析するフレームワークです。
2010年以前のマクロ環境は、クラウドが登場していますが、まだまだ浸透はしていませんでした。システムはまだまだ安心、安全であることが絶対でした。ところが、リーマンショックにより、強烈なコスト削減要求が出されるようになりました。システムは絶対安全が前提であったのですが、これを契機に安全よりコストが安いことを選択するシステムも出てくるようになり、その結果、徐々にパブリッククラウドが浸透し始めました。またパブリッククラウド側のセキュリティー対策も進み、日本と同等かそれ以上の国際認証のあるセキュアなデータセンターで運用するクラウドが登場したり、日本国内にデーターセンター立てるパブリッククラウドもてきました。これにより、システムを選定する際に、過去に前例がないクラウド事業者がコンペに参入したり、少々セキュリティー上不安があっても検討の土台に乗るようになり、より競争が激化する傾向となってきました。
次に５F分析で、業界内の競争環境を見てみましょう。５F分析は、代表的な業界構造分析で「新規参入企業」「代替品」「買い手」「売り手」「業界内の競争」の5つの視点 から、それぞれ業界の競争ルールに影響を与えているかを考察し、業界の魅力度を知る ためのフレームワークです。
（５F分析は、M-portarの考案したフレームワーク、厳密に本フレームワークの前提とはマッチしないが、状況を整理するために使用する。５F分析の詳細についてはマイケルポータ氏の競争優位の戦略を参照ください）
５F分析で見てみると、2010年ごろから、IT機器メーカーの合併が増えてきました。その結果、川上が統合され交渉力が徐々に増してきました。日本では、メーカーが直販営業に力おいれてきた感覚があります。代表的な例でいくと、OracleがSunMicroSystemsを買収し、数年後、EXADATAを登場させ直販での販売を始めました。力を増してきたメーカーは、パートナーへ頼らなくても販売できるチャネルを確保し、より力を強める動きが活発になりました。大手ハードウェアメーカーはネットワークやストレージなどのメーカーをどんどん買収し、統合していくことで交渉力を強めていきました。これは、競争環境が変わりつつあることを示唆しているという見方ができないでしょうか。
元来、日本のエンドユーザーの交渉力は、大きく、請負契約と人月単価を人質にとられ、言うことを聞かざる得ない状況が日本のSIerの歴史でした。その状況で川上がどんどん統合されていくと、必然的にその環境での交渉力が弱まり、利益の奪い合いに負けていきます。マクロ環境、業界構造を見てみるとこの状況は必然であると思えます。
SI事業者側も交渉力を強くするため、企業統合の検討や、特定分野での事業買収を検討をする必要があるでしょう。情報システム子会社を買収したり、顧客側との提携などで川下側での統合し顧客側との交渉力を強くしたり、クラウドメーカーのエコシステムの中に入り川上側への提携するなど、ビジネスモデルを転換することが求められると思います。
ビジネスモデルを転換するとなるとSI事業者は、戦略的な取り組みが必要です。システム構築案件を受注するための能力だけでなく、事業統合のための事業企画、財務戦略などができる人材が求められ、そういった人材の育成が急務だと思っています。そしてエンジニアリング能力や営業力に頼りきった組織構造はいずれビジネスモデル転換の波に乗り遅れていくことになるでしょう。
今後は、競争環境が変わることにより、国内SI事業者もそして、あなたの能力も変化が求められているのです。
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Takeaway〜競争環境が変われば、自らの戦略も変えなくてはいけない！！
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