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大塚家具は対岸の火事ではない!!

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はじめまして、オルタナティブブロガーに最近入りました後藤晃です。

私はプロフィールの通り、ベンチャー企業〜大手SIerまで所属しました。そこで感じた疑問、業界の問題点について常々考えており、大学院に通い研究してきました。
本ブログでは、そういった経験や研究を活かし、IT業界をFACTベースに斬っていきたいと思います。

さて話は本題に入ります。

最近話題の大塚家具。皆さんはどう見ているでしょう。
実は、IT業界にとっては、対岸の火事ではありません!!

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私が設定する大塚家具のイシューは
・久美子社長:外部環境変化に合わせた戦略の変更
・勝久会長:今までの強みを更に強化した戦略の深耕
と理解しています。

久美子社長は、IKEAやニトリ等が業績を伸ばしているのを、顧客の変化だと捉えています。

元来大塚家具は、結婚などの大きなイベントの顧客に会員登録してもらい、トータルコーディネートのスキルを持っている顧客担当が一組の顧客につきっきりで手厚いサポートをするのが強みでした。しかし顧客が変化しIKEAやニトリのようなパーツ売りが受けているのだから、それに合わせた戦略を展開していく必要があるだろうと主張しています。

一方で、勝久会長は、もともと大塚家具の強みは店舗による接客とトータルコーディネートにあり、会員制を宣伝などに力を入れによりそれを研ぎすまそう、という方針を掲げています。

これは、ハーバード大学院教授のクリステンセンのイノベーションのジレンマと同じような状況で、「今まで支持してくれたユーザに心地よいサービスを展開していたら底辺のユーザはドンドン離れて行った」という事態ではないでしょうか。
または経営学でいう、ポジショニング派かケイパビリティ派かといった議論に近いと思います。

この判断はどっちが正しいとは言い切れない、難しい経営判断だと思います。

私ならどうするか、家具は昔は耐久消費財であったが、すでに流行に敏感で、定期的に買い換える非耐久消費財として部分が大きくなってきました。そういう時代の変化をとらえ久美子社長のように戦略転換を選択します。こういった大きな顧客の流れは変えられないので、ポジショニングが大事と考えているからです。

オプションとしては、
①大塚家具に子会社を作りブランドを分けて新しい顧客を取っていく
②体制は今のままだが、大塚家具ブランドを維持しつつ、おしゃれで安い雑貨、ベットとかクローゼットではなく、椅子や机といった気軽に買えるものを取り揃え、それを契機に大塚家具を知ってもらい、大きいベットやクローゼットの販売につなげる方法。
があります。

そして私なら、オプションとしては①を取ると思います。
なぜなら大塚家具のような古い会社は、社内でも抵抗勢力が多いと想定していてなかなか既存の体質のまま急激な変化は難しいのとさすがに、iDCの看板を付けて、IKEAのようなビジネスでIKEAに勝つのは難しいだろうと思うからです。

さてこの状況をIT業界の中でもSIer(システムインテグレーター)の業界に当てはめてみると、対岸の火事では済まされなくなる可能性があります。
世の中の環境は、確実にクラウド化に向かっています。一品一様でお客様の手元でシステム開発する労働集約モデルから、センターに大規模投資しそれを月額課金で回収するモデルに変化しています。

勝久会長路線であれば、今までのSI(システムインテグレーション)を中心によりカスタマイズ性の高い分野で勝負していく。

久美子社長路線であれば、自社のSIはやるけれども基本パブリッククラウドをメインとした商売をする。もしくはもしくは、SI案件のリソースを大幅に減らしてクラウド事業にリソースを集中投下しクラウドで勝負していく。
となるでしょうか。

私ならどうするか従業員も古株が多く、組織が硬直しているのであれば、やはり子会社を作り、パブリッククラウドメインで勝負する会社を作ります。
そういう大手のSIerは未だなかなか見られないのが残念です。

もちろん、消費財と生産材の違いがあるのでそのままそっくり当てはまるとは思いませんが、非常に示唆に富む経営判断だと思います。

近々そういった決断を迫られる可能性があるSI業界においては、「大塚家具の件は、対岸の火事ではありません!!」しっかり今後の大塚家具に注目したいですね。

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TakeAway〜外部環境が変化したら戦略を変化せよ
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