オルタナティブ・ブログ > Cathedral Break in Action >

エンタープライズ(企業)向けのオープンソースとか育児とかについて考えていきます。

どこにいたって仕事なんてできない

»

育休中には自宅では仕事はできないと言われているけど、本当のところはどうなの?」という記事を読みました。中身はひとつのケースとしてとても興味深い記事でした。

ただし、同じセンテンスのタイトルをぼくがつけるとしたら結論は逆になります。「育休中に自宅で仕事は出来ません」。もちろん、これはこれでひとつのケースなので、元記事が間違ってると言うことではないのです。

DSC02517 (Small)

この手の話はとにかくいろんなケースをみんなが発信していく必要があると思っています。選択肢がいろいろあって、そのなかで、自分はこれは無理だな、自分はこのやり方なら出来そうだ、ということを考えられるようにならないと、なんだよ特殊な条件が整ってないと育児休暇なんて無理じゃないか、というメッセージだけが残ってしまうような気がしています。

女性サイドからの子育てだけにフォーカスした苦労話はいっぱい発信されているんですが、やっぱり父親からの仕事と子育てをどうしたか、という発信は事例の少なさもあってほとんど見えてこないのでどうしても「スーパーマンが成し遂げました」みたいなことが印象に残りがち。リンク先の記事も、この方は優秀だなあと思うこと多数。この記事の方はたぶん仕事が大好きで、仕事をなんとか両立したいと思って工夫をした結果、うまくできているケースなのでしょう。

どんな業務タスクでもやるべき業務にちょっとだけ手を付けておくことで、次に本作業に取り掛かる時のアクセルの掛かり方がスムーズになります。

とありますが、まずぼくにはこれが難しい。「ちょっとだけ手をつける」こと自体に助走が必要ですからぼくのとってはこれは細切れのまま存在します。次に90分単位の集中とありますが、90分×複数回も集中できません。それから、それから……と、書いていくとなんだか自分のいけてないところをダメ自慢してるような気分になり、さらに暗くなってくるのでやめときます。いずれにせよ、凡人がそういった環境で仕事をするのはそもそも能力的に厳しいのか? と言うことになっちゃいます。

もうひとつ、この手の記事でいちばん無視できないのはやはり、パートーナーと子供がどういう資質を持っているかと言うことです。これについては、上に書いた「自分の資質」が霞むくらいの要因だと思われます。

たとえば、手のかかる子供と手のかからない子供は、びっくりするほど違います。うちの両親に話を聞いてると、ぼくはものすごく手がかからない子供だったらしく、ものすごく楽だったのに、妹はとても大変だったという話を聞きました。夜泣きがひどい子、母親への執着がひどい子、活発で怪我が絶えない子、ほとんど泣かない子、もうぜんぜん違います(他人の子供の話を聞くのが好きなのと、妻が子供関係の職なのでケースはけっこう聞いています)。

そして、それを受け止める両親の気持ちの変化もひとそれぞれです。ふたりめなんかは適当でいいや、と悟る親も多いですが、ひとりめなんかだとずーっと気を張っていてそれだけでもう疲弊してつらい、ってこともよくあります。それ以外に、祖父母による手伝いがあるかないか、その地域で買い物をする際の地理的制約、保育園の待機児童の数、なんて外的な条件もたくさんあります。とにかくケースによっては仕事との両立難易度なんてものは、ものすごく異なり、苦労した人にしか見えてこないハードルってのがあちこちにあるのが育児の難しさ。

ぼくの場合は、両親もそこまで近くないし、クルマはないので移動はすべて電車、近くに大きなスーパーなし、そして、自分の資質として切り替えが出来るようなタイプじゃないし、だいたい仕事なんて好きでもないし、そもそも双子育児は大変なんだからどうせ無理だと判断して、仕事を一切しない完全な育休にしました(上の双子と下の子、2回とも取りました)。それでもけっこうな大変さでした。

ただ、唯一思った通りにならなかったのは金銭的な問題で規定の最大まで休みを取る、のが出来なかったところです。休業中は補助金が出るので無収入にはなりませんが、それでも収入減には代わりませんから、その後のことを考えるとなかなか減収のまま続けるのが難しいなと判断しました。で、通常の勤務を在宅可でやらせてもらえないかという、という形で会社と話していまにいたります(前職の話が混ざってるので厳密な書き方をしてませんが、そんなかんじです)

そういう意味で冒頭で書いた「育休中に自宅で仕事は出来ません」っていうぼくのこの答えはちょっとズルい回答です。育児休業中は仕事をそもそもしようと思ってなかったのですから。まあ、あの状況で仕事をどこに割り込ませるんだ、ということはやはり振り返って思いますけどね。

――というのが、ぼくのケースです。なんだかケースを紹介するって言うには抽象的になってしまったんですが、基本的にいいたいのは「仕事をしませんでした」ということなんですよね。これが選択肢にあった、というのはそれなりに恵まれていたんじゃないかと思います。

ぼくは選択肢のある世界を望んでいます。働いていたいし子育てがしたいなら両立できるし、働くのはお金のために仕方ないけど子育てに集中したい、というのなら、育休の間くらいは金銭的に苦労しなくても集中的な育児を選べる、というような(そうはいっても完全に労働しなくてお金を与えるなら原資どうすんだって話はあると思うのでただの理想論でしょうけど)

これからも人それぞれ、望む働き方をしつつ子育てを行うようなケースがいくつも出てくると良いなとは思います。

Comment(0)