これでいいのか? TOEICブーム~最近の雑談から
いよいよニンテンドーDSでTOEIC対策ソフトが発売されるなど、大人の常識、あるいは試験を何度も受けることが趣味のようになっている愛好者が増えてきているんじゃないかと思えるTOEICテスト。歓迎会、親睦会シーズンの最近、ゴルフスコア談義と同じくらい、ざっくばらんにTOEICスコアの話題が出てくるようになりました。
仕事柄、社内の昇格条件を満たすにはあと何点TOEICスコアが足りないが、いったい何から手をつければいいの? とか、部下にそろそろ昇格を薦める時期なので、TOEICの教材を与えたいんだけど・・・などといった相談事を聞くことがよくあります。そこでその方達に、今までご自身でどのような勉強をされてきたのか聞くと、結構、「PART2や3から勉強するといいって言いますよね」など、TOEICテストの各パートについて知っていらっしゃることが多い。攻略本のような実用書や、模擬テスト的な問題集は、かなりの方が自分で勉強しているのです。
ではなぜ、スコアが伸び悩むのかと言うと、単語や文法は学校卒業以来すっかり忘れてしまっている。「TOEIC受験直前に、何をやったらいいんでしょう?」と聞かれると、私は「PART5の単文穴埋め問題を勉強してください。スペルの紛らわしい単語のペアとか、文法問題は、本番でそのまま出題される場合もあってヤマが当たりやすいですし、何しろ覚えるだけで応用力はそれほど要りませんから、2・3日で何とかしたいならPART5が即効力ありますよ」とアドバイスしています。すると、「そうなんですか!? いつもリスニングや長文ばっかり勉強していてPART5はやってませんでしたよ」と言われることもありました。
攻略本や攻略ソフトのブームで、7種類もある出題形式を覚えて解けるようになったり、試験問題を解く独特のテクニックを発見することは楽しく、ゲーム感覚でできるようになってきたのだと思います。しかしながら、500点、600点以上のスコアを取ろうとすると、やはり基礎体力―、語彙力や文法力も日常的にトレーニングしていただきたいなと思います。
以前であれば、「ラジオ講座などありますから」とお勧めして、それでもテキストを買わなきゃいけないとか、放映時間と自分のスケジュールが合わないとか、障壁がいろいろあったわけですが、最近ではPodcastがありますから、無料で、今日からでも英語の基礎体力作りを始めていただけます。ちなみに私は、BBCニュースのVideo Podcastを習慣として観ています。
人事関係の仕事をしていらっしゃる方と飲みに行くと、いま多くの日本企業でTOEICが昇進・昇格要件になってるけど、これって本当に必要なの? という談義をしています。昇進・昇格にはいろいろなスキル要件があって、他の、例えばヒューマンスキルなんかは非常に玉虫色の定義しかされていないのに、TOEICスコアだけは、数値がビシっと決まっている。達成目標が可視化されているのがTOEICだけって、ちょっとバランス悪くないでしょうか、という話です。
TOEICテストの新PART6や、PART7を見ていて思うのですが、これらビジネスレターで使われる定型文の問題とか、市場データや雇用統計、経済記事なんかの読解問題を日本語でやってみたら、日本語でも意外と解けないでしょうね、という話をすると同意してくださる方がいらっしゃいます。このような観点での授業は「情報リテラシー教育」として、一部の大学で教養科目に組み入れられたり、単位にはならないけれどキャリア教育の一環として始まっているそうです。
TOEICテストとセットで、日本語による情報リテラシーの検定も早く実用化されれば、「英語だけは昔から苦手だったんだよなー」という人もコンプレックスを感じる心配がなくなるのに、と思っています。