電話会議が国際交流を変える
私が事務局を務めている語学交流協会ELCA東京では、英語学習や海外との交流に、積極的にwebを利用しています。そのひとつが、外国人との電話会議です。最初は半信半疑だった参加者たちも、回を重ねるごとに「今日はTelephone Conferenceをやりますよ!」と言うと歓声があがるようになってきました。
会場にはブロードバンド環境などありませんので、準備しているのは写真のようにごく普通の携帯電話です。日本在住の外国人と話す場合はこちらから電話をかけ、海外在住の外国人と話す場合は、先方のIP電話から、こちらの携帯電話にかけてもらっています。電話機を、携帯電話用イヤホンケーブルを経由してスピーカーにつなぐと会場に電話での会話が流れます。いつも15名ほどの人が参加されますが、会場のすみずみまで音声が行き渡っています。
この日は開発教育の定番のひとつ、「世界貿易ゲーム」を会場で実施しました。電話参加ゲストがNGOのPeace Boat出身者で開発教育に詳しい人だったため、あらかじめゲームのやり方が書かれたwebサイトを教えてもらっておき、webの情報を参考にして自分たちで学習しました。
会場には日本語と英語を学んでいる韓国人や中国人、台湾人参加者もいて多国籍クラスの活気があふれています。特に、ゲームの時間になると活発な英語が飛び交います。このゲームでは、資源に見立てた紙と、工場設備に見立てた文房具を売り買い、貸し借りし、丸や三角形など決められた「製品」を作る数を競い合いました。
電話だと声が聞き取りにくいのではないか、という問題も、今ではほとんど感じません。私など、LとRの発音を間違え、電話を通して発音を直されたことがあるほどです。
ELCA東京は発足して10年以上たつ団体ですが、2000年前後から電話会議の実証実験をしてきました。最初の頃は、協賛企業にPHSカードつきのパソコンを持参してもらい、教室の外の廊下に出て、位置を変えてやっと接続できたとしても、接続が安定せず、また声も鮮明に伝わらないのでお互いがCan you hear me?と聞きあうだけで終わってしまうこともありました。
また何よりここ数年で変わったのは、電話会議が参加者に受け入れられるようになったことです。当初は電話会議をすると言うと、「私はナマ身のネイティブに会うほうがいいので」とか「声だけで英語を伝えるなんて上級者でないとムリ」といって休む参加者もいたのです。通信機器に抵抗感がなくなったことや、バーチャルな国際交流というものへの想像力が広まってきたのだろうと思います。