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「生保」というと最近は「生活保護」の略称だったりしますが、こちらは「生命保険」です。保険会社(メーカー)、代理店(販社)だと言いづらいこと、言えないことを、分かりやすく書いていきたいと思います。新規加入や見直しの際にご参考にして頂ければ幸いです。また、取り上げて欲しいテーマがあればリクエストしてみて下さい。可能な限りお答えしていきます。

生命保険の「不払い問題」とは何だったのか?

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昨年のことですが、2008年7月に保険金の「不払い問題」で金融庁から生命保険会社10社に対して出された業務改善命令を12月6日に解除したと発表しました。

当時世間を騒がせた保険の「不払い問題」とは何だったのでしょうか。
記憶に残っている方も多いかと思いますが、行政上一区切りつけられてしまったので、あえてリマインドしたいと思います。

この「不払い問題」の原因としては大きく2つありました。
ひとつは保険会社の事務的なミス、というかお粗末なシステムによるものや、契約者た担当者のうっかりミスでした。

特に損害保険会社については、特約が多すぎて支払の際に内容が把握できないという、かなり恥ずかしいものでした。

その他ケアレスミスや恥ずかしいミスについては、各社一定の改善が見られたという金融庁の見解で、今回の処置となったのかな、と思われます。

問題はもうひとつの原因です。

象徴的なのは2005年に発覚した明治生命(現明治安田生命)の「ハシゴはずし営業」です。
健康上問題があるお客様に対して「そのぐらい大丈夫です。告知書に書かなくていいですよ」と言って保険に加入させて、いざ、保険金の請求をした際に「保険加入前から症状があったようですね。告知義務違反なので保険金は支払いません」と言い放たれたました。

「担当の人が、告知しなくても大丈夫だって言いました!」と泣き叫んでも、担当者が退職(だいたい2年以内にやめる)していたり、担当者がいても「言った、言わない」の水掛け論になります。

まだ担当者が単独でノルマ達成のためにやったのであれば、個人の問題でありよくある話しであったようですが、これを組織ぐるみで行っていたことがバレて社会問題となりました。
拠点長の命令で、お客様に「保険金、給付金を請求したらはずす不当なハシゴ」をかけて契約を取っていたのです。

その後(表面的には)様々な面で改善がみられたようです。
それまでなかった「重要事項説明」が保険加入の際に義務付けられたり、その他コンプライアンス(法令遵守)違反の取り締まりが厳しくなったりしました。

それはそれでよしとしましょう。

ただ、よく考えてみると、先に述べたように担当者個人レベルではよくある話しであり、旧明治生命だけの問題ではなく、大手国内生保を中心に数多くあったことが想定されます。

つまり指摘されて断罪されたのは、事件発覚から今までの「不払い」案件についてだけで氷山の一角でしかありません。

まだ保険金や給付金を請求していない「不払い」案件となりえる契約は山のようにあるのです。
告知義務違反を"推進"されて生命保険に加入した方がまだまだ沢山いるということです。

新規加入では、上記のような事例になるので比較的わかりやすいのですが、特に問題なのは「転換」をした場合です。
「転換」とは以前にお話したように生命保険の下取りのような制度ですが、保険契約としては新規と同じ扱いです。

お客様の感覚では、同じ保険会社で下取りなので既契約を継続してリフィニッシュする感じですが、新規扱いなので改めて告知が必要です。

ここで問題が発生します。

例えば新規加入の際には本当に健康上の問題がないとしも、数年後「転換」する場合にその数年の間に健康診断で引っかかったり、発病した場合に改めての告知を忘れてしまったり、敢えて担当者が確認しなかったりすることが少なくありません。

さすがに発病して通院している場合に、担当者が追求すれば告知するでしょうが、健康診断の指摘などはスルーしてしまう可能性があります。

「転換」のイメージとしては「今までの契約を生かして切り替える」というのが強いようなので、新規契約と同じように取り扱う意識が担当者もお客様も希薄になってしまうのです。

実際に保険販売の現場やYAHOO知恵袋の相談などでも、明らかに新規加入もしくは「転換」の際の告知をきちんとしていないケースが少なからず見られます。

組織ぐるみで行った非道なものはかなり減ったと思いますが、担当者レベルのものや、うっかりコクハンなどはまだまだ残っていると思います。

これはあくまで噂話の域を出ないのですが、最近の生命保険会社において多少グレーな案件は保険金、給付金は支払ってしまう、と聞いたことがあります。

保険会社に対するバッシングが強烈な中、多少出血しても支払ってしまおう、という空気があったことは事実だと思います。

しかし、保険の給付金について請求する時期をコントロールすることは不可能です。
「今支払が緩いから、病気になって入院してやるか」というわけにはいきませんよね。
(保険金目当てに自殺することを除けばですが・・・)

結論としては2つです。

ひとつは、今回の業務改善命令の解除により、少なくとも当局からのプレッシャーが保険会社に対してなくなったことで「のど元過ぎれば熱さ忘れる」状態になり、これから保険金、給付金を請求するひとでハシゴをはずされてしまいそうば予備軍がたくさんいることです。

それともうひとつは、業務改善命令が出たときからのことですが、保険会社は「重要事項説明」や「注意喚起」の義務付けなどで顧客の自己責任の度合いを高める(これだけ説明しているんだから、何かあってもこちらは悪くないという状況をつくる)ことに腐心してきているので、担当者の説明不足が原因であっても顧客のうっかりりミスや勘違いにて「告知義務違反」になっても、突っぱねる準備ができていることを認識する必要があることです。

結局、生命保険の「不払い問題」とは、まともな保険募集人とその顧客で正直な方には何の関係もなく、ただその影響で加入するときの手間(重要事項の説明など時間がかかる)が大きく増えただけかもしれません。

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