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地球儀と世界地図で学ぶ、フェイクニュースのスペクトラム

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フェイクニュースの定義は日本と世界で違っています。日本では先日の朝日新聞の値上げでの言及で「ネット上にフェイクニュースが飛び交う今、新聞の役割は増していると考えています」と書いて、話題になったように、ソーシャルメディアやブログなどにデマが書かれているから気をつけろという文脈で使われます。一方、日本以外のほとんどの国、少なくとも英語圏での Fake Newsは、ニュースとして報道されたがそれは インチキ、ガセ、プロパガンダだったという意味で使われています。

日本と海外でのフェイクニュースの定義はどちらが適切なのでしょうか?また、日本のマスコミはフェイクニュースを流すことはないのでしょうか?

事実は、実物大の球体の地球儀であり、ニュースは目的に応じて平面化され縮小され世界地図に過ぎない

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そもそも、ニュースは事実そのものであることはありえません。現実社会は常に変化していて多面的です。歴史的事実はその時点での現実を固定化したものといえますが、それでも立体的な球体をそのまま実物大でモデル化した地球儀のようなもので浮上に複雑で簡単に描き、人に伝えることは困難です。芥川龍之介の小説「藪の中」が描いたように、当事者それぞれの事実もあります。

そんな、複雑な事実を報道して伝えるには、単純化して、球体を平面で描くような世界地図のようなものに加工せざるを得ません。日本の新聞の多くは、は取材網を持ちデスク機能など報道機関として優れたものと思いますが、それでもなお、事実をありのままに伝えることは不可能 という認識を持っていてほしいと願います。

安易に、NHKや朝日新聞らが、フェイクニュースが「日本でもー」と報道しています。(NHK クローズアップ現代 2017年2月7日 フェイクニュース特集 あなたは被害者?加害者? の冒頭より)

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しかし、このネットのデマと同義で「フェイクニュース」という言葉を使う日本のマスコミは本質的な問題を抱えているといえるでしょう。

事実を多少なりとも曲げて「平たく」して、伝わるように見出しをつけねば、人々に報道として伝わっていかないからです。一次情報に取材している新聞社は、こたつ記事を書くブロガーとは違うんだ というプライドを持っているのも分かりますが、所詮は加工しないと記事にはならず、そこで価値判断や、スピン(意図を持った歪曲)が入ってきます。

新聞社やテレビ局は客観報道という立場で、ワクチン接種後の死亡事例を報じます。それが、客観的事実であっても、人は日々亡くなるものであり、報道することで意味をもたせることは有る種のスピン(意図)を与えているという自覚を持つべきです。すべてのニュースにはフェイク性がほとんどゼロかもしれませんし、99%以上かもしれませんが、ともかく含まれるわけです。「若者が」という主語で語る報道が、ある政治団体に所属しているとか、いろいろな隠された情報もネットで晒される時代に、わざわざそれを取り上げる意義は何か?取材しやすいから報じるでいいのかなど今一度考え直すべきでしょう。

大きな主語で語る人を見出しにするなど、フェイクニュースは事実からも作れる

また、意図的なプロパガンダを報道が拾ってしまう危険性もあります。"日本からのアストラゼネカ製ワクチンに、台湾在住日本人は「中国製打ちたい」の声" というFlashが見出しをつけた報道は、その代表性を疑う必要があります。そういう人が居るというけど、実際問題台湾政府が認可しているワクチンはアストラゼネカだけなので、接種可能なワクチンはAZ製となるわけです。

われわれ日本人も、中国製を打ちたいというのが正直なところです」

と大きな主語で語った、この日本人が本当に現地の声に沿っているのか?フェイクニュースかもと疑って読む必要があるでしょう。フェイクニュースは完全な捏造だけではありません。


客観的なデータとしてアストラゼネカのワクチンはヨーロッパ諸国で接種されて効果をあげています。一方で、ワクチンの4分の3は中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)製のこりがファイザー製を使い国民の75%への接種が進んだチリで、感染拡大が続いています。個々の声を取り上げる報道も意義はありますが、それが

数の報道は率で、率の報道は数で疑え

読売新聞が6月6日に「ワクチン、すでに7千回分以上廃棄」と報道していました。7千回分というのはかなりの数に思えます。しかし、接種回数は、延べ 1600万回を超えていました。確認件数なので、正確な率は割り出しが困難ですが単純計算での廃棄率は0.04%程度となります。工場で大量生産をしているわけでなく、また、温度管理が大変なmRNAワクチンでの接種の大規模展開として、99.96%程度の有効利用率というのは非常にうまくいっていると評価すべきでしょう。

報道には伝わるように物事を単純化せざるを得ないのが宿命です。あらゆる報道がフェイクニュース性をはらみます。また、深い洞察や分析を行った記事や、一般読者には難しいことを複雑な情報を残して語った記事は、日本のマスコミからはあまりでてきません。論文やそのもとになった情報へのリンクもあまり行われず、複雑な事象をより根拠を持って伝えようという意欲は日本の大手マスコミでは乏しいのが現状でしょう。

ネットのフェイクニュースに惑わされず新聞が正しく報道するなどと主張しているようでは日本の大手マスコミの支持はますます弱まり、質の悪いデマもよりはびこると危惧します。新聞社やテレビ局はネットの時代に何が求められいるのか問い直すことが今こそ求められてます。

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