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Yahoo!よマスコミの自覚を持て「声かけ&モーツァルト効果!?」で疑似科学を拡散の罪

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モーツアルト効果」なるいいクラシック音楽で頭が良くなるという仮説で、実証研究においては否定され「疑似科学」として扱われている命題です。その仮説を信じてドイツで下水処理に利用という記事が6月7日に事通信の記事を大きく載せたばかりのYahoo! Japanがまた、「<トマト>声かけ&モーツァルト効果!? 1粒の種からたわわに(毎日新聞) - Yahoo!ニュース」という記事を載せました。今度は毎日新聞が??しかも今度は、「1粒の種からたわわに」と効果を併記して声かけとモーツァルト効果の関連があるかのような見出しをつけています。しかも記事を開くと下のように毎日新聞のお墨付きのように見える形で。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100609-00000017-maiall-soci

<トマト>声かけ&モーツァルト効果!? 1粒の種からたわわに(毎日新聞) - Yahoo!ニュース via kwout


いくらなんでも、こんな見出しが毎日新聞の整理部を通るのか???と疑問に思って毎日新聞のサイトを捜すと、記事の趣旨は大きく違うことがわかりました。見出しは、話題:水耕栽培でトマトたわわ 恵庭「えこりん村」だったのです。
http://mainichi.jp/hokkaido/news/20100608hog00m040009000c.html

話題:水耕栽培でトマトたわわ 恵庭「えこりん村」 - 毎日jp(毎日新聞) via kwout

恐らくこの記事を書いた記者は、トマトがたわわに実る原因を水耕栽培だと理解しているはずです。そして、付随的なユニークな試みとして、モーツァルトの名曲とお客様からの声かけが紹介されています。

原因の主体をYahoo! Japanは変えているわけです。

そもそも新聞社が記事の軽重を決めていた時代が終わったという指摘を"日経新聞「NTT東 小型無線ルーター月500円で提供」騒動の波紋"でしていました。何気ないベタ記事だったものがネットで拾われて広まり誤解が拡散する危険が高まっているのです。その時代の中心に居るYahoo! Japanは媒体(メディア)というよりは、日本で使い習わされている言葉、「マスコミ」の自覚と見識を持つべきではないかと思います。

その見出しが科学的にどうなのか?また、ヘッドラインで取り上げることで注目される社会的意義と責任をよく吟味すべきと思うわけです。

そしてまた、記事のソースとして名前を使われた毎日新聞は、世に出て読まれるところまで関心を持ち、必要に応じて抗議するとかしていかないと....ますますマスコミの見識が磨り減って価値をなくしてしまうのではないかと危惧します。

この願いは私にも返ってくる諸刃の剣であり、アルタナブログという目立つ場所を使わせていただいている責任と義務を今一度感じさせる出来事でした。

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