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ソーシャルメディア上のクチコミを劇的に促進する4つの仕組み

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ソーシャルメディアの登場で、企業は生活者とのコミュニケーションのあり方を根本から見直すべきタイミングに来ているようだ。
 
電通さとなお氏のブログ記事「100万人にではなく100人に伝える」は、まさにその本質をついたものだ。Marketing, PR, Advertising, Brandingを描いた有名な影絵があるが、それを模して、マスメディアとソーシャルメディアにおける顧客コミュニケーションの違いを表現すると、こんな感じになるだろう。

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左側は、企業がマスメディアを通じて生活者に「大きな声」でメッセージを伝えている様子。右側は、人に媒介され「共感をこめた控えめなトーン」で、しかも対話型によるコミュニケーションで伝わっていく様子をあらわしている。

この違いをもう少し具体的に、イメージ図であらわすと、次のようになる。

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【マスメディアによるコミュニケーション】

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【ソーシャルメディアによるコミュニケーション】

ソーシャルメディアは「メディア」というより「生活者のコミュニケーション・インフラ」だ。一方通行で直接伝えるマスメディアと異なり、ソーシャルメディアでは人を通じてメッセージが広がっていく。当然、企業が意図した通りにはいかない。個々人が異なる情報を付加するし、それをコントロールすることは不可能だ。また図内においてグリーンはポジティブ、ピンクはネガティブをあらわしている。つまり、何人かに一人は、そのブランドに反感を持ち、ネガティブなメッセージとして伝播していくことをあらわしている。
 
 
■ ソーシャルメディア上で、情報伝播を改善する3つの方法
 
では、この新しい時代のコミュニケーション上で、情報伝播をいかに効果的なものにすれば良いのだろうか。すこし論理的に、3つの方法を考えてみたい。
 
1. ブランドのファンを増やす
 
まず、もっとも単純な方法は、企業のメッセージを友人に伝えてくれるファンを増やすことだ。ただしこれは必ずしもソーシャルメディア上に限ったことではない。マスメディアやリアル店舗も含めた統合的なブランディング施策が重要になるだろう。

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ソーシャルメディア上に限定すると、Twitterではフォロワー、Facebookではファンを増やすことだ。あらゆる顧客接点での告知やネット広告、キャンペーンなどを通じてファンを増やしていくアプローチが一般的だ。米国食料品スーパー Whole Foods Market の1年で100万人フォロワーを集めたキャンペーンなどは成功例として参考になるだろう。(自然食品の老舗ホールフーズが極めた地元密着のつぶやき戦略)
 
2. ブランドの共感度を上げる

 
もうひとつはファンの共感度を上げるアプローチ。これは、そもそも商品サービスの品質向上が根幹にあり、その上で顧客サービスの向上や統合的なブランディング施策が重要となる。

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ソーシャルメディア上に限定すると、生活者との間で対話交流を図り、エンゲージメントを深めていくのが効果的な方法だろう。また、Zapposのように顧客支援姿勢を表明し、裏表なく実践するアドボカシー・マーケティングは、この共感度向上に大きくプラスになる。社会貢献も重要だ。この点については、以下のブログ記事で詳細を記したので、参照してほしい。
 
マーケティング3.0時代、ソーシャルメディアのビジネス活用術 (11/5) 
  
3. 影響力の強いインフルエンサーとの交流を深める


もうひとつ、ややテクニカルなアプローチになるが、ブランドファンの中から影響力の強いインフルエンサーを見つけ出し、積極的に交流を図る方法も有効だろう。

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従来型のブロガーイベントも効果的だが、ソーシャルメディアにおけるインフルエンス指標 Kloutスコア 等を用いて、TwitterフォロワーやFacebookファンの中からインフルエンサーを見つけ出し、企業サイドから対話を試みるアプローチも可能となった。

手間と時間のかかる方法だが、インフルエンサーひとりひとりと人間的な対話を重ね、オンとオフで継続的な交流の場合を用意し、丁寧に信頼関係を構築していく手法をおすすめしたい。
 
 
■ ソーシャルメディア上で、クチコミを劇的に促進する4つの仕組み

以上の3つは、企業と生活者のあいだの情報伝播を改善するための基本的なアプローチだが、さらにソーシャルメディアを仕組みとしてうまく活用することで、このクチコミを劇的に活性化させる方法がある。それらを、著名ブランドの実績値を比較考察しながら学んでいきたい。

調査対象のメディアとして選定したのは、伝播の仕組みがオープンかつシンプルなTwitter。そして対象企業は、Twitterフォロワー数で100万人を越えている全9社(食料品スーパーのWholeFoods、オンライン靴販売のZappos、ソーシャルショッピングのWoot、新興航空会社のJetBlue、PCメーカーのDell、TシャツクラウドソーシングのThreadless、ハンドメイド商品売買サイトのEtsy、コーヒーチェーンのStarbucks、新興航空会社のSouthwest)、および共同購入クーポンの仕組みを取り入れているGroupon、大規模社会貢献キャンペーンPepsi Refresh Projectを展開しているPepsiの11ブランドとした。

1. 「ブランドを含むツイート数」と「ポジティブ率」の比較

調査は、ツイートのネガポジをリアルタイム判別するツール Tweetfeel を利用し、

  • 一定期間内で、その企業名を含むツイート数 (以下、ブランド含むツイート数と略)
  • そのうち、ポジティブなツイート率

を測定、グラフ化した。調査日は2010年11月29日だ。

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棒グラフがそのブランド含むツイート数、折れ線グラフはそのポジティブ率をあらわしたものだ。ツイート収集期間はツイート数から推定しておそらく数時間程度と予想される。

ブランド含むツイート数が最も多いのはブランド知名度で他を圧倒するPepsiで249件。その他はそれほど大差ないことがわかった。ブランド含むツイート数フォロワー数の間には明確な相関関係がなく、ブランド知名度そのもの影響が大きい。つまり、単純にTwitterフォロワー数を上げても、ただちにクチコミパワー増大につながるとは言えないということだ。

また、ブランド含むツイート数自体はそれほど大差がないのに対して、ポジティブ率には大きな差があることもわかった。ポジティブ率で9割を超えているのが、WholefoodsZapposEtsy。対照的にDELLは、なんと約7割はネガティブツイート。つまり、PCへの不満、顧客サポートへの不満などがツイッター上に蔓延しているのだ。

一般的に、企業はどうしても数値を捉えやすいフォロワー数を重視しがちだが、実はブランド含むツイート数との相関関係は少なく、それよりポジティブ率を高める施策を重視すべきことを示唆しているのではないだろうか。
 
2. ブランドページへのリンクを含むツイート数の比較
 
続いて、同11社に対して、もうひとつツイッター上の調査を行った。ブランドページへのリンクを含むツイート数だ。具体的には、WholeFoodsであれば、WholeFoodsサイトのURLを含むツイートがどのくらいあるかを調査したものだ。

調査は、短縮URLも含めた被リンク・ツイート数をカウントできる BackTweets を利用し、

  • 一定期間内で、その企業URLを含むツイート数 (以降、被リンクツイート数と略)

を測定、グラフ化した。調査日は2010年11月29日だ。
 
なお、Pepsiに関してはPepsi公式ページよりPepsi Refresh Projectへのリンクの方が圧倒的に多いため、後者の被リンク数をカウントしている。
 
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棒グラフはフォロワー数、折れ線グラフは被リンクツイート数をあらわしている。こちらのツイート収集期間はツイート数から推定しておそらく一ヶ月程度と予想される。

この調査においても、フォロワー数被リンクツイート数は全く相関関係がないことがわかる。驚くべきはEtsyの52万件だ。さらにGrouponの3.2万件、Pepsiの2.6万件、Threadlessの1.1万件と続いている。ソーシャルメディア活用で有名なStarbucksDellでも、これらの数値には遥かに及ばないのだ。

では、EtsyGrouponPepsiThreadlessに共通するものはなんだろうか。それは企業から情報発信するのではなく「利用者自らが情報発信するメカニズム」を持っていることだ。例えば、ダントツでトップのEtsyは、ハンドメイド作品の個人売買サイトで、出品者が自ら積極的にツイッターを活用して作品を宣伝することで、ツイッターからの巨大な流入が実現されているのだ。Etsyにおいては、あくまで主役は利用者で、ソーシャルメディアを活用するのも利用者だ。そして公式アカウントはその補佐役、円滑油にすぎない。このEtsyのツイッター利用に関しては、次のブログ記事で詳細を分析しているので、ぜひ参考にしてほしい。

Twitterで一番得しているのはDellではない ~ 個人売買サイトとTwitterの蜜月関係   

そして、1万件以上の被リンクツイート数を持つ他の3社も同様。タイプは異なれど、利用者主役の仕組み、交流の場を提供しているブランドなのだ。

  • Etsy  個人売買をしあう場を提供 〜 自らの作品を売ることが動機付け
  • Groupon  共同で購入する場を提供 〜 購入下限数に達することが動機付け
  • Pepsi  コンテストの場を提供 〜 賛同プロジェクトを受賞に導くのが動機付け
  • Threadless  商品を販売する場を提供 〜 セルフデザイン商品を広めるのが動機付け

このように利用者が自らツイートしたくなる仕組みには、次のような4つのタイプがある。

  • コンテスト型 〜 Pepsi社会貢献プロジェクトのようなコンテスト開催
  • 共同購入型 〜 Groupon、ポンパレのような共同購入クーポン販売
  • マーケットプレイス型 〜 Etsy、eBay、Threadlessのような個人売買ないし類似市場
  • セルフブランディング型 〜 ブログサービスなど、個人のセルフブランディングの場

企業がスター型でメッセージ配信するには限界があるし、マスメディア時代のクリエイティブでは、ソーシャルメディア上でスルーされる可能性が高い。参加している利用者自らがソーシャルメディアを活用したくなる動機づけ、これこそがソーシャルメディアのコミュニケーションデザインのキモと言えるのではないだろうか。
 
 
参考) 利用者自らがツイートする仕組みに関する参考記事はこちら

 
 

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最新の筆者著書です。 『Twitterマーケティング 消費者との絆が深まるつぶやきのルール』

 

Comment(1)

コメント

ソーシャルメディアを使いこなすためには、普段から「個人」で楽しむ事が必要。
会社から命令されて使っていたのではいけない。

だから、何よりもまずは、来る事よりも、行く事をメインにして、コメントを残すや動画を見るなど、ユーザー目線が何よりも大切になる。

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