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日本ソーシャルゲーム業界に黒船到来 - Zyngaとソフトバンクが業務提携を発表か

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6月7日,世界最大のソーシャルゲームデベロッパー,Zyngaとソフトバンクが業務提携発表の準備段階に入っているとのリーク記事がVentureBeatから報じられた。

Zynga1

 
VentureBeatは,4月26日の記事でも,Zyngaとソフトバンクが提携し日本やアジア進出を検討しているとしたが,その時点では真偽のほどはわからない噂話として報じていた。

Zyngaは,さる5月18日に,Facebookとの仁義なき戦いを長期提携で終止符をうったばかりだ。合意内容は明らかにされていないが,最大の争点であるFacebook Creditの手数料30%のディカウント(Facebook内広告との抱き合わせで)などが盛り込まれたと予想されている。

プラットフォームとデベロッパーの仁義なき戦い,Facebookと衝突したZynga,4つのシナリオ (5/12) 

しかしながらZynga自身,経営課題として,(1)Facebook依存度を下げること,(2)最近低迷しているユーザー数を再度成長軌道にのせること の2点を投資家から求められており,その解決のために,ここ1ヶ月の間に米国Yahooやセブンイレブンなどと矢継ぎ早に提携を発表した。

ZyngaがYahooとの電撃的提携を発表。YahooユーザーにFarmVilleやMafiaWarsを提供 (5/27) 
ゲームデベロッパーに新たな収益源 ~ Zyngaが米国セブンイレブンとタイアップ (5/24) 

 
今回のソフトバンク提携が事実であれば,その目的は日本およびアジアのソーシャル・ネットワーキング進出であることは間違いない。

必然的に想定されるのは,Facebookと同様にPCベースのOpenSocialプラットフォームとなる Yahoo!モバゲーへのFarmVille日本語版などの投入だろう。続いて日本携帯への対応が前提となるが,モバゲー,mixi,GREEへの進出も検討されるはずだ。

さらにソフトバンクと提携したからには,これから最大の市場に成長するであろうAndroidマーケットも視野に入れている可能性が高いのではないだろうか。5月27日に発表されたFacebook Android SDK(関連記事)を利用すれば,Facebookのソーシャルグラフを利用したソーシャルゲームをAndroidアプリとして移植でき,Zyngaの持つ顧客ベースやゲームブランドをそのまま生かすことが可能となるからだ。

 
Zyngaは,この5月20日には北京のソーシャルゲーム開発会社であるXPD Mediaも買収(関連記事)しており,日本を足掛かりとして,中国を含むアジア進出をもくろんでいる可能性が高い。

いよいよ,日本,そしてアジアのソーシャルゲーム業界にも黒船が到来する日は近そうだ。


【追記】
Apple 2010 WWDCにて,FarmVilleがiPhoneに登場するとの発表がありました。
Farmville Coming To The iPhone In Late June, Jobs Pronounces Zynga (TechCrunch)



【ソーシャルゲーム関連】
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【国内外SNS関連】
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