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マーサ・スチュワートに学ぶトリプルメディア活用最前線

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料理家,ライフコーディネーター,実業家として,米国では大変有名な「カリスマ主婦」,マーサ・スチュワートをご存知だろうか。

彼女が初めて本を出版したのは1982年。彼女の人気に火がついたのは1990年代,雑誌"Martha Stewart Living "や自分のTV番組を始めるようになってからだ。「カリスマ主婦」となった彼女には,その注目度の高さゆえ,熱烈な信者もいれば,強い嫌悪感を示す主婦もいた。
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しかし2002年にマーサ・スチュワートはインサイダー取引で逮捕された。TVレギュラー番組は中止され,自分の会社Martha Stewart Living Omnimedia(以下,MSLOと略)の株価は暴落,同社役員も辞任を余儀なくされた。

2005年3月,5ヶ月の禁固刑を終えた彼女は,ソーシャルメディアの達人として復活した。過去の失敗をバネに,ファンと積極的に交流し,主婦層,特にアルファママとのエンゲージメントを深めている。またソーシャルメディア(アーンド・メディア)だけでなく,自社メディア(オウンド・メディア),マスメディア(ペイド・メディア)を組み合わせたトリプルメディア戦略を見事にすすめ,相乗効果を創出している。

 
 
■ オウンド・メディア ~ MARTHASTEWART.COM


マーサ・スチュワートのウェブサイト(MARTHASTEWART.COM)は,クロスメディアを集約するハブとしての位置づけで,豊富なコンテンツが用意されている。中でもメインコンテンツは彼女のブログだ。ほぼ毎日,写真とともに丁寧なブログがアップされており,記事には多くのファン・コメントも寄せられている。

またブログや掲示板以外に,約5000人が参加する会員制のブランド・コミュニティも用意されている。会員対象は25-45歳の女性。彼女の熱烈なファンの集いで,写真やスクラップブック,レシピなどを共有し,ファン同士の交流ができるようになっている。

参考まで,このMarthastewart.comの月間ユニーク訪問者はなんと500万人近く(2009年12月)と前年比73%増,総ページビューも前年度比85%増だ。過去のトラブルにもかかわらず,全米での彼女の人気がいかに高いかを再認識させられる。

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■ アーンド・メディア ~ ツイッターとFacebook


マーサ・スチュワートのツイッター(@MarthaStewart)はフォロワー数は200万近く,米国でも最大級のアカウントだ。ツイッターを始めてわずか5ヶ月で100万ユーザに到達したというのも驚きだ。

ツイート頻度は比較的高い。その多くはテレビ番組のプロモーションだが,彼女の言葉である ことは間違いなさそうだ。「今回のゲストは誰?番組が10時に生放送だと知っていて遅れるなんて無責任だわ。 もう9時39分,みんな心配してるわ。どうしましょう」など,臨場感溢れるツイートが流れている。そして彼女のツイッター最大の目玉コンテンツは140字レシピだ。

ちなみに彼女は,コストほぼゼロで多くのトラフィックを集めるツイッターを「ソーシャルメディアのウォルマート(世界最大のスーパーチェーン)」と称しているようだ。

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一方,Facebook(Martha Stewart Living)はツイッターほどは活用しておらず,現在ファン数は65000人ほど。主たる用途は掲示板と動画,写真の共有だ。それぞれファン投稿を許可しており,特に写真は340枚以上のファンの撮影社員がアップされている。

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■ ペイド・メディア ~ テレビ番組もインタラクティブに

マーサ・スチュワートは,自身のテレビ番組に125人のブロガーを招待した。そのイベントではゲストとしてツイッター共同創設者Biz Stone氏やFacebook共同創設者Chris Hughes氏も登場し,参加者のツイートやブログ投稿を促進させた。

イベント中に発信されたツイートは452件,フォロワー数が3万人超の有名ブロガーなども招待されており,ブロガーとマーサ双方に相乗効果があったようだ。番組の舞台裏の写真撮影も許可され,ブロガーは番組制作により近くなったような気分を味わうことができた。テレビ番組にこのような形でソーシャルメディアを取り入れることは米国でもまだまだ珍しいようだ。マーサ・スチュワートは時代の先を走っている。 
 
 
■ マーサの語るクロスメディア戦略


マーサは自社のメディア戦略について「幅広いクロスメディア・プラットフォームが売りで,すべてにソーシャルメディアの要素を絡めたい」と話す。そこではデジタルを中心として,360度のクロスメディア展開をすすめ,利用者とのインタラクティブな関係を深める考えだ。近日中にiPadアプリもリリースする予定とのことだ。

彼女の会社MSLOは,これらのメディア展開をすすめた結果,2009年第4四半期には黒字転換し,2130万ドルの利益(前年同期は450万ドルの損失)をあげることに成功した。中でもオンライン広告収入は前年同期比30%の成長を達成しており,クロスメディア戦略の成果を物語っている。

彼女は雑誌読者から年間100万ほどのEメールを受けとっているそうだが,今後はさらに若い世代も取り込んでいく予定だという。「彼女たちのそばにいられるようにしたいの。今私たちは大きな変換の時を迎えているわ。でも,変化できなくなったら終わりだと思ってるの」とマーサは語っている。
 
 
 
【翻訳協力】
当記事は,噂のTechDoll,三橋ゆか里さん(プロフィール)に翻訳等でご協力いただいています。
 

 
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