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「印刷はクラウドにおまかせ」,GoogleがCloud Print構想を発表

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Googleの推し進めるChromeOSは,すべてをブラウザ上に集約することで,前時代的なOS(Windowsだろう)をこの世からなくそうというアグレッシブなプロジェクトだ。彼らのビデオがそれを雄弁に語っている。(日本語訳付)

このコンセプトは決して夢物語ではない。それどころか米国シリコンバレーでは既にWindowsはマイナーな存在となっている。彼らの手にあるのはMac Bookであり,ほとんどの業務はGoogle Apps(Gmail,Calender,Docs・・・)でこなしている。ネイティブ・アプリで多用するのはKeynoteぐらいだ。そこではFacebook,Twitter,LinkedInがフル活躍し,情報共有の文化が日本より遥かにすすんでいる。

このChromeOSを強力に進める構想が,Googleから発表(Chromium Blog)された。それが当記事のテーマ,Cloud Printだ。このコンセプトを一言であらわすと「あらゆる端末から,あらゆるプリンターに印刷できるクラウドの仕組み」だ。

Cloud_print

今までは,個々のPCに,個々のプリンタ・ドライバをインストールする必要があった。Google Printの世界が実現されると,ユーザーはプリンタ・ドライバ等を意識する必要なく,端末からの単純な印刷指示だけで,指定されたプリンターから印刷されるようになるわけだ。

ただしそのような美しい世界が実現されるためには,プリンター装置にCloud Print(オープン規格)を実装する必要がある。つまりメーカーの賛同と開発期間が必要だ。

それまでの暫定策として,GoogleはプロキシソフトをPCに導入(Chromeブラウザには内蔵)してもらうことで,擬似的なCloud Printの実現を計画している。

またGoogleは必ずしもホスト側のクラウドサービスを独占する意図はなく,彼らのオープン規格に準拠する形で多くの企業の参入を期待しているとのこと。

これが実現されると,例えば客先でiPadでプレゼンテーションし,その場でiPadからその企業のプリンターに印刷できるようになる。現在,プリントショップを利用しようとすると店舗内のPCにデータを移してから印刷する必要があるが,これも外から一発で指示できるようになるため高品質印刷サービスの需要が喚起される可能性もある。

Clould Printに関するより詳細な技術データは documentation / code をどうぞ。

 

Appleが主導するスマートフォンとタブレットの爆発,Googleが主導するAndroidオープン化戦略により,モバイル端末は一気に多様化の時代に入った。あらゆる画面に最適化された表示,最善の使い勝手を実現するためには,端末サイドのOSやミドルウェア,HTML5とともに,クラウド・サイドも多様化をカバーするCloud Printのようなサービスが必要とされるだろう。

これらを予測するためのキー技術(OSやHTML5)や普及予測については,過去にブログで記しているので,ぜひ参考にしてほしい。

■ 主要3社の各端末種(PC,Notebook,Tablet,SmartPhone)ごとのOS戦略と,今後の予測はこちら
Google vs Apple vs Microsoft ~ ひと目でわかるモバイルOS戦争の構図 (1/3)   

■ 単なる技術にとどまらない,Apple独占型ビジネスの今後を占う意味もあるHTML5の解説はこちら
HTML5のインパクト ~ それを巡るAppleとGoogleの呉越同舟 (2/8)   

■ 多様化する端末の2013年までの普及予測はこちら
スマートフォン,タブレット,ネットブック等 モバイル端末の普及予測 2006-2013年 (12/28)   
iPhone/Androidが圧倒。最新スマートフォン,多機能携帯電話のシェア動向 (3/28)   



 
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