スマートフォン,タブレット,ネットブック等 多様化するモバイル端末の普及予測 2006-2013年
アマゾンのクリスマス商戦で,ついに電子書籍売上がリアルな書籍を上回ったとのニュースが世界中を驚かせている。
・ Digital Revolution? Kindle Ebooks Outsell Real Books on Christmas (Mashable, 2009/12/26)
クリスマスプレゼントとしてKindleの人気が非常に高かったこと,そのためKindleと一緒に数冊の電子書籍をあわせてプレゼントするというパターンが多かったためもあったのだろう。とはいえ,Amazonの全製品カテゴリーの中で Kindleが最も売れている商品との ニュース もあり,電子書籍リーダーは2009年に確実に離陸したといえよう。
あわせて2010年初旬には,ついにAppleのタブレットが登場すると見られており,さらにMicrosoft,Dellなどのタブレット参入も噂されている。Kindleを電子書籍に特化した専用タブレット機とすれば,さらに注目されるのはAndroidないしiPhoneOSを搭載した外部アプリ対応の汎用型タブレットだろう。特に目が離せないのはAndroidだ。2009年末ですでに対応アプリを1.2万種として急成長させているが,2010年末には15万種に成長するとの 予測 まであり,比較的早いタイミングでiPhone/iPodTouchを逆転する可能性すら出てきている。
・ アプリが早くも2万本を超えたAndroid。iPhoneとの多面的な比較分析 (2009/12/16)
では,このタブレット機はどれくらいの需要予測があるのだろうか?
また携帯電話からはじまって,スマートフォン,ポーダブルゲーム機,タブレット,ネットブックなど,多様化していくモバイル・ネット端末はどう成長していくのか?
モルガンスタンレーの「Mobile Internet Report」からの抜粋してみたい。
このチャートには,モバイル・インターネット普及において「ゲーム・チェンジャー」となった革新的プロダクトの特徴や普及状況(累積出荷台数)等が記載されている。
携帯ゲーム機でトップシェアのNintendoDSは113百万台,Wiiリモコンにより新しいゲーム体験を生み出したNintendoWiiが56百万台,スマートフォンで圧倒的シェアを持つiPhone/iPodTouch が57百万台だ。また各社のネットブックの総累積台数は39百万台,電子書籍リーダーの先駆けAmazon Kindleが1百万台,そしてVoIP専用機の先駆けSkypePhoneが1百万台だ。
これらのモバイル端末をモルガン・スタンレーでは大きく3種類に分類している。
小型なものから順に紹介しよう。
まずはWPD (Wireless Pockable Devices),24時間30センチ以内,常にポケットに入れられるサイズの携帯端末だ。さらに分類すると,スマートフォン,ポータブルWiFi機(NintendoDSやSonyPSP,iPodTouchを含んでいる),そして3G対応多機能携帯電話だ。
次の中間サイズがPID (Portable Internet Devcies),持ち運び可能だが相応のサイズがあるため常に常備するわけではないデジタル機器だ。従来からのノートPCに加え,小型化されたネットブック,そして新たなジャンルとして注目されているタブレットだ。
最後にSIT (Statinary Internet Terminal),基本的に据置タイプのものだ。専用ゲーム機,インターネットテレビなどの家電機器が含まれる。
これらの2006年から2008年までの出荷台数実績,および2009年以降の出荷予測をまとめたものが次のチャートだ。
グラフの方は小型な順に,青色系がPWD,緑色系がPID,ピンク色系がSITだ。
まず普及台数ベースでいくと,2006年時点で3億台弱だったこれらモバイル系機器が,2013年には15億台と5倍増すると予測されている。 またその比率を見てみると,PWD:PID:SIT = 61%:28%:11% が,2013年予測では 71%:25%:4% と小型に主力がシフトしていくことが見て取れる。
個別に見ると,2012年の時点でスマートフォンが3G多機能携帯電話を抜きトップとなる見込みだ。2008年から2013年までの年平均成長率では48%という驚異的な成長が予想されている。
もう一つのダークホースがタブレット機だ。現時点では100万台(Kindle)に過ぎないこの新型機器が,なんと2013年には4900万台,2008年から2013年までの年平均成長率で117%と見込まれているのだ。
携帯電話はスマートフォンの成長に押されて年率8%,ノートPCやネットブックはそれぞれ14%,32%と堅調に成長することが予想されている。
残念ながら,ゲーム専用機はポータブル,据置型ともにほとんど横ばい状態だ。高機能な汎用機が出ると専門機のシェアが食われるというIT業界の定説がゲーム機にも適用される可能性が高いことが予測されている。
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