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コカコーラが挑む世界最大級ソーシャルメディア・キャンペーン。その全貌と狙いを探る

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コカコーラが世界最大級のソーシャルメディア・キャンペーン 「エクスペディション206」 を来年1月1日から開始する。

投票完了!前代未聞の世界27.5万マイルの旅に挑むコカ・コーラ大使3名の若者がファン投票により決定 (BusinessWire 2009/11/16)

ネットで選ばれた3人の若者が,365日かけて206ヶ国(コカコーラが販売されている国すべて)をめぐり 「人々を幸せにするもの」 を探しもとめる旅に出かけるという壮大な企画だ。

そして彼らの旅の行程はソーシャルメディアを通して,ツィート,日記,動画,写真でリアルタイムに配信されていく。さらに,彼らがどこに立ち寄り,何を食べ,誰をたずねるか,ソーシャルメディアに参加しているメンバーが推奨する仕組みになっており,ネット参加者との体験共有しながら「幸せ」を探すアドベンチャーが1年にわたって続いていく。

■ 彼ら 「ハピネス・アンバサダー」 はどのように選ばれたか?

コカコーラ社はまずソーシャルメディア上で多くのファンを持つ60名をピックアップし,そこから18名をインタビュー,最終候補として9名に絞る。それを3チーム(各チーム3名)にわけ,ネット投票で1チーム3名を選出した。

超難関をくぐり抜けた「ハピネス・アンバサダー」は,左から,トニー・マーティン(29歳、ワシントンDC出身、現在はミュンヘンの幼稚園教員)、ケリー・フェリス(23歳、南アフリカで生まれ,現在はブリュッセルの大学生)、アントニオ・サンティアゴ(24歳、プエルトリコで生まれ,現在はメキシコシティの大学生)。「ミックス」というチームで,その生い立ちから3人で8つの言語を話せるマルチ・リンガルが特徴だ。

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■ 彼らはどのような行程を回るか?

2010年1月1日にマドリッドを出発。12月31日にアトランタでゴールする。下図は2月にまわる国をピックアップしたものだが,米国-カナダ-日本-韓国-台湾 というようにルートはあらかじめ決まっている。

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例えばカナダに訪問するタイミングはバンクーバー冬季オリンピックにピタッとあっている。また南アフリカのFIFAワールドカップ、中国の上海万博な ど世界的イベントもキレイに網羅しているところがうまい。

彼らが行く先々で,各国コカ・コーラ社主催の「ハピネス・ホスト」が旅行する3人をバックアップし,案内する人々を最終的に決定するとのことだ。

11月16日に選出された彼等には,初日から「ハピネスアンバサダーズ・トレーニングキャンプ」が開始され,さまざまなアドベンチャーの知識や訓練がをはじまっている。年内まで準備が続き,来年の元旦に晴れてマドリードを旅立つ予定だ。なお,選ばれた翌日には本人たちが ツイート しているのが妙に生々しくて面白い。

■サイトの構成はどうなっているか?

旅の模様はメインサイトである Expedition206 に集約される。またTwitterFacebook,YouTube,Flickr その他のソーシャルネットワーキングサイト上でも公開される予定だ。おそらく多くのメガサイトを活用しながら,コンテンツを集約することでメインサイトに集客される流れになるだろう。

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またこのサイトでは旅の模様が映し出されるとともに,ファンが「バーチャル旅先案内人」として、どこへ行き、何をするか、誰を訪ねるかなどを推奨するためのアンケートも行なわれるはずだ。

■キャンペーンの狙いは何か?

コカコーラ社が狙っているキャンペーンの効果は次のようなものだろう。

  • 継続的な世界旅行の体験共有によってファンを醸成すること
  • リアルな場でのイベント参加や直接交流を通じてファンを醸成すること
  • ファン情報をソーシャルメディアに蓄積し,いつでも繋がることのできるネットワークを確立すること
  • 各国の広告代理店とのタイアップして多様な企画をすすめられること

世界中で千差万別でありながら共感しやすい「幸せ」を題材に選んでおり,旅の過程で多くの感動ドラマが生まれる可能性がある。その点はまさにコカコーラ社と広告代理店,シナリオライターの腕の見せ所だろう。

極端な例だが,仮に「英国の歌姫 スーザン・ボイル」クラスの共感ストーリーが生まれ,3人とファンの間で共有され,世界中にクチコミで広がり,しかも自分たちの国で彼らと直接会う機会もあるとなれば,相当な反響を呼ぶ可能性がある。

先日記事にしたHONDAキャンペーンでは,ごく短期間でFacebookに200万人を超えるファンを集めることに成功した。今回のキャ ンペーンは1年にわたり,しかも世界の国々ともれなく接していくわけで,最終的にどれくらいの動員効果があるか想像つかない。おそらく集客も世界最大規模になるではないか。

200万人を繋いだ!HONDAのソーシャルメディア・プロモーション (2009/10/26)

それと見逃せない巧みな点は,一般人から親しみやすいスターを育て,そのスターが多くの人々と触れ合うことでファンを広げていく手法だ。スケールは異なるが,コミュニティを活用して同様の効果を狙ったすばらしい成功事例がある。

バナーをクリックしない68%のユーザーにリーチする秘策 【中編】
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この記事中の Fiskars社のコミュニティ戦略は,多くの成功のエッセンスを含んだ教科書とも言える事例だ。今後ソーシャルメディアの活用を検討されている企業の方は,ぜひ当コカコーラ事例やHONDA事例とともに参考にしてほしい。



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