天使の歌声。この1週間で4300万回視聴された驚異のバイラルムービー。その広告価値を計算すると?
一週間前ほどの4月11日。
英国のオーディション番組「Britains Got Talent
2009」に48才の普通のおばさんが登場した。
彼女の名前はスーザン・ボイル(Susan Boyle)
審査員と観客が厳しい表情で見つめる中,
彼女が静かに歌い始めると,信じられないことが起こる!
動画は こちら(英語版) か こちら(日本語翻訳つき) から
(YouTubeの事情により Object埋め込みが無効になっています)
バイラルムービーはいくつもあるが,こんなに心をうつ感動的なものは珍しい。
職場の方,お昼休みでも結構です。できればサウンドをオンにして聴いてください!
さて,ここからが本題だ。
バイラルムービーという現象は,YouTubeという巨大ソーシャルメディアによって引き起こされる。その裏では,TwitterやFacebookがクチコミ着火に一役買っていることも間違いない。
いずれにせよ,この天使の歌声の持ち主,スーザン・ボイルさんの美声は,一瞬にして世界を席巻し,たった1週間で4300万回以上(最も閲覧回数の多い動画で3000万回)視聴されたのだ。しかも能動的にクリックされて。
米国における全業種平均のクリック単価は約$1.4である。単純に現クリック数に単価を乗じると,今の時点で約60億円というにわかに信じられない広告換算価値になる。しかもマスメディアが記事にするのはこれからというタイミングでである。
ちなみに検索回数を探るため,この女性の名前,"Susan Boyle" の様子を Google Trends で見てみるとと
■ Google Trends より詳しくは こちら を
このようにクチコミはまだ始まったばかり。このITメディアも含め日本では19-20日にようやくマスコミが取り上げ始めている。国別ランキングを見ても,母国英国や米国も同様の状況であり,このバイラルムービーが最終的にどの程度再生されるか,1億回を優に上回り,予測も困難な回数になることは間違いない。
このバイラルムービーは,新しい時代のクチコミパワーとソーシャルメディアの実力を端的にあらわしているものだ。
そして,このバイラルムービーの舞台となっている YouTube,テレビを凌駕するバワーを持つ双方向メディアは,3億人を超えるユニークビジター数を持ち,驚異的なスピードで成長し続けている。
しかしながら一方で,買収した Google は,YouTubeに関して膨大な赤字を垂れ流している。2009年の予測では,2.4億ドルの売上に対して,赤字幅は4.7億ドル。コストのうち 51%が通信費,36%がライセンス料だ。
動画サービスは,いや,そもそもソーシャルメディアは黒字になる可能性があるのだろうか?
このようなWeb2.0の収益性に対する疑問は後をたたない。
今週は,この「ソーシャルメディアの収益性」について,さまざまな国内外の事例に基づき,客観的に検証していきたいと思う。
まず明日は,ソーシャルメディアとビジネスモデルを俯瞰するために,その源流からの系統図をたどってみたい。
p.s.
スーザン・ボイルさん,天使の歌声も驚きですが,その天真爛漫でポジティブな態度,本当に,最高にキュートです!