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【顧客コミュニティを成功させる7つの秘訣】 ~ クチコミ誘導をどう設計するか

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さて,成功の7つの秘訣,次のテーマは,初期に集めた顧客に 「いかにクチコミしていただくか」 だ。

ネット上のクチコミは極めて強力だ。単純計算では,仮に1人のユーザーが週3人のユーザーに紹介することを繰り返すと翌月のユーザー数は100倍超になってしまう。このクチコミ誘発の仕掛けをいかに設計するかは,ある意味「初期集客」より重要で,ソーシャルメディア成功のキーとなる。

ただしこのクチコミ・ドライバーは,ユーザーのインサイトやコンテンツの特徴によって当然異なってくる。
今回は実際のクチコミ・ドライバー事例を,パターン別に整理し,ポイントを記したい。

1.友人紹介でポイントを配布する

最も単純で効果的なクチコミ・ドライバーはポイント制度の導入だ。成功事例として際立つのはモバゲーやGREEだろう。それぞれサイト内通貨をうまく活用し,ユーザーの行動を誘引しており,友人紹介にも相応の「ゴールド」が付与される。詳しくは筆者ブログ 「経常利益率57%を誇る驚異の高収益体質。GREEの複合型ビジネスモデルを探る」 を参照してほしい。クラウドソーシングサイトとして著名なTシャツ販売の Threadless やビジネス系SNSである Jigsaw なども,分野は異なるが巧妙にポイントを活用している事例である。

ここでのポイントは,露骨に金銭メリットと関連付けないことだ。特に企業のプライベートコミュニティの場合,ユーザーの量より質が大切であり,過剰なポイント付与や金銭メリットの提供はコミュニティの質を落とす原因となるので注意したい。

2.友人と体験を共有する場を提供する

友人と体験を共有する場を提供すると,ユーザーが自発的に自らの友人をサイトに招待してくれる。筆者ブログ 「お客様の心にハイタッチするコンテンツを揃える」 で紹介した映画に特化した巨大SNSであるFlixster などまさに好例である。例えば,ユーザーはYouTubeで映画のビデオクリップを見ながら,感想などをチャットで対話できる。TwitterやMeeboとも連携されており,他コンテンツでも体験共有の場が提供されている。

特に最近のFacebook,Twitterなど,メガ・ソーシャルメディアの潮流は「リアルタイムストリーム」や「サイト内行動のユーザー通知」がメイン・コンテンツになってきており,今後はよりいっそう友人との体験共有が重要になってくるだろう。

3.コミュニケーション・ツールを提供する

Facebookやmixi,Skypeなどは,幼少のころからインターネットと接してきたデジタルネイティブ世代にとっては,クラスメイトとの情報交流のツールとしてすっかり定着している。コミュニケーション・ツールは,そのネットワーク外部性により,利用者が増えるほど価値が増していく。趣味やビジネスでの情報共有に有効なツールを提供すれぱ,やはりユーザーは自発的に友人をつれてきてくれるのだ。

4.友人を巻き込むコンテンツを提供する

Facebookの多様なアプリの中でも「友人ネタ」はクチコミ・ドライバーとして非常に巧妙にできているものが多い。「友人ネタ」アプリとは,友人をペットにする,友人を評価する,友人に自分の評価を聞く等,友人をイジルことで楽しむアプリだ。特に人気のあるのがFriends for Sale。友人を「ペット」として売買し,売買されるたびにその友人の価格が上がっていくアプリだ。友人は,このアプリに参加していようといまいとお構いなしに「ペット」として売買されてしまう。売買された友人にはFriends for Salesからメッセージが届くが,それが巧妙なクチコミ・ドライバーとなっている。またCompare Peopleもすごい。友人を比較するアプリで,例えばあなたの友人2人の写真が出てきて「どちらが腕力が強い?」などと次々に出てくる質問に答えるというもの。いずれも売買や評価の結果,世界で?最も価値の高い「ペット」や最も「腕力が強い人」などユニークで味わい深いランキングができあがることになる。そしてその結果,さらに上位を競い合うための集客競争(これもクチコミ・ドライバー)がはじまっていく。

5.友人増加にともない拡張機能を提供する

友人を会員にすると,その紹介元ユーザーに機能的メリットを提供するパターンだ。最も典型的な事例が世界最大のビジネスSNSである LinkedIn だ。LinkedInの一般ユーザーは,直接コンタクトできる友人の範囲が限定されている。具体的には「友人」の「友人」の「友人」までとなる。したがって自らの人脈を拡張するためには積極的にリアルの友人を誘い入れ,またLinkedInの中で知り合いを探し出すことだ大切になってくる。また当然人脈豊富な友人ほど声がかかりやすく自然とクチコミが広がっていく仕組みだ。この効果により,LinkedInは1秒間に1人が加入する世界最大規模のビジネスSNSに成長している。

6.ファンを持つキーマンを巻き込む

音楽系SNSで多いのが,バンドとファンの関係をうまく活用した集客だ。最も有名な事例は Myspaceで,バンドにファン交流の場を提供することで,音楽ファンをコアユーザーとして定着させた。その他にも音楽系SNSには面白いクチコミ・ドライバーがある。例えば Amie Street という音楽コミュニティでは,ユーザーが曲をダウンロード購入(曲は最初はDL料金は無料。DL回数でアップし Max $0.98)すると,友人への回数限定の推薦権を得られる。さらにDL料金が上がると推薦者に上昇金額の1/2がバックされるという仕組みだ。また Sellaband というドイツのサイトは,気に入ったミュージシャンに$10寄付し,$50,000(5000人)の寄付が集まると,そのファンドをもとに本格的なレコーディングを行いCDを発売できるという仕組みを提供している。一定期間に$50,000に行かない場合は寄付金は返金され,$50,000に達すると寄付者にはCDが無料進呈される。いずれも中心にバンドがいて,その人気によって自動的にメジャーになる仕組みを構築されているところが面白い。


さて,今回のテーマ,顧客コミュニティ構築7つの秘訣その5「クチコミ誘導をどう設計するか」についてまとめてみよう。

1.クチコミ・ドライバー(クチコミ誘導の仕掛け)はソーシャルメディアの最も重要なエッセンスだ。

2.クチコミ・ドライバーは,ユーザーのインサイトやコンテンツによって多様だ。
  ・ポイントを提供する
  ・友人と体験を共有する場を提供する
  ・コミュニケーションツールを提供する
  ・友人を巻き込むコンテンツを提供する
  ・友人増加に伴い拡張機能を提供する
  ・ファンを持つキーマンを巻き込む




なお,当社では,ワールドカフェ社と提携し,多様な海外事例に基づき,顧客インサイトを実現するためのコンテンツ企画をコンサルティングしております。ご興味ある方はご連絡いただけると幸いです。

Comment(2)

コメント

「1.友人紹介でポイントを配布する」はMyspaceなどのいくつかのSNSでは規約で禁止されてますよっと。
禁止されていないところでもグレーゾーンなのであんまりやると禁止されるかもしれないですね。

mainya様,貴重なご意見ありがとうございます。調査したのちに注記をいれさせていただこうと思っております。ありがとうございました。

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