政府のベンチャー支援構想に欠けるもの
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政府は7日、成長戦略にベンチャー支援策を盛り込むことを明らかにした。
記事で概要を見ただけだが、あまり期待できない内容で残念だ。それによれば、大企業とベンチャーの「出会いの場」となる「ベンチャー創造協議会」を設け、イノベーションを模索することが政策の柱ということだが、本当に「模索」だけで終わりそうな予感がする。
このような「支援策」はいくらあっても邪魔になることは無いが、これまでの支援策に一貫して欠けている最も重要な点は、政府が市場を提供することだと思う。例えば、米国でレーガン政権が始めたSBIR(Small Business Innovation Research)では、政府が率先してシーズ(研究費)と市場(政府調達)をベンチャーに提供し、おびただしい成功をもたらした。現在のハイテクやバイオ大手の多くがこの制度で離陸した。実は日本にも同じSBIRと名付けられた支援策があるが、中身は予算も桁違いに低く、おまけに資金提供が単なる融資であることも多く、お寒い限りである。
政府が膨大な研究費をまとめてベンチャーに投じ、その成果を再度政府が調達するという循環さえできれば、優秀な人は勝手に起業し、投資も自動的にそこに向かい、諸外国の優秀な人々も勝手にやって来るのである。このような循環を作るのは民間の限られたR&D予算では無理で、政府規模でドカーンと始めなければならない。
市場の創造を抜きに支援策ばかり作っても、結果的に「日本民族は起業に向きませんねー」とか「シリコンバレーは起業に向いてる場なんですよ」なんてお粗末な分析しか出てこないのである。
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