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「大浮世絵展」は何かと感動した!

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念願の「大浮世絵展」に行ってきた。

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世界各地に散った浮世絵が一堂に会するとあって、大変な人気だった。ミーハーだが、菱川師宣の見返り美人、葛飾北斎の赤富士には興奮した。

その他、間近に見ると、鈴木晴信、北斎、広重など、著名な浮世絵チームが版画によって実現した絵の繊細さ、色遣いのグラデーションにあらためて感動する。そう、肉筆ではなく版画なのである。にもかかわらず、一枚一枚が肉筆と同じ、いや、それ以上の高級なタッチを再現している。

浮世絵は、版元がスポンサーとなり、絵師、彫師、刷師などの分業チームを構成して絵を大量生産する。肉筆ではなく版画なのは、絵を大量生産してスケールするためである。しかも、大量生産しても肉筆と変わらないタッチを実現したことがニッポンの「ものづくり」の品質を語る。

つくづく感動するのは、浮世絵というビジネスモデルである。版元が投資して、遊郭、景勝地、歌舞伎(当時のアイドル)といった「売れ線」のターゲットを定め、チームでブロマイド(雑誌、写真)を大量生産し大きく儲ける。大きく儲けるので分業制が成立する。現代の映画や音楽プロダクションと同じである。西洋では、中世にグーデンベルグの印刷機によって書籍の大量販売が可能となったが、カラー印刷の絵の大量生産は日本が発祥という。日本はそれほどのコンテンツ力と技術力を持つ。

日本の江戸時代に、シリコンバレーのようなベンチャー村が存在したことを誇りに思う。

そして今回は、「浮世絵」のビジネスモデルのしたたかさを再確認したが、同時に、売れるコンテンツは桁違いに品質が素晴らしいということをこの目ではっきりと確認したのである。

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