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プロダクトマネジメントとイノベーション

ITが変えてしまった広告ビジネス

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こちらのブログで引用されている図は、米国の各種産業の縮小、拡大を示したもので、各種産業の趨勢

Industry_growth_2

が大変分かりやすく例示されています。

ブログのタイトルにある通り、新聞産業が大変な勢いで縮小していることが分かりますね。

一方で、最も成長している産業は右上の「インターネット」ですが、「インターネット」と一言でいっても、今や様々な産業がネット上でビジネスをしているので、各種産業の集合体とも言えるエリアです。

ただし、明らかにそれを牽引しているのは、先ごろIPO申請をしたTwitterなどのソーシャルビジネスでしょう。「ソーシャル」というのは非常に日本語化しにくいビジネス名称ですが、彼らが急速に成長している理由はずばり広告収入の伸びです。この領域では他にFacebook、Googleなど広告収入で生きている会社が激闘を繰り広げていますが、下記はそれぞれの会社の売り上げに占める広告収入の割合です。

  • Twitter 87%
  • Facebook 84%
  • Google 95%

この割合を見れば、各社とも広告収入が事業の柱、いや、むしろ広告収入そのものが事業であることが分かります。この3社だけでも5兆円近くの広告収入を得ており、インターネット広告の一大勢力を形成していることが分かります。すなわち、米国でいう「ソーシャルビジネス」とは、事業の成り立ちから見れば、「インターネット広告産業」と言い換えられる訳です。

要するに新聞が衰退している理由はソーシャルビジネスの隆興によって広告収入が激減していることにあるわけです(新聞の有償デジタル版は伸びている)。インターネット広告はネット上のビジネスが主体なのでIT産業に属すると見られがちですが、メディア産業そのものなんですね。

もちろんそれを支えているのはITです。米国では10年ほど前から、IT産業からこういうソーシャルビジネスやEコマースなどのサービス産業への転職が一気に加速して「ITエンジニアの空洞化」が叫ばれ、図にあるようにIT産業も低成長領域に入ってしまいましたが、その技術者が今やメディア産業を急成長させて業態を変えつつ、国全体を成長させているんですね。

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