GMは凄かった - 敢えて米国に学ぶ
ご存じの通りGMが米連邦破産法11条を申請し、金融子会社のGMACの一部国有化も決まりました。
このGMACは今回のサブプライム危機の元凶とも言われていますが、あえて今、このGMグループの凄さと、「このままで終わるはずがない」米国の底力を再認識したいと思います。
1. GMは凄かった
その昔、「クルマの大量生産」という離れ業をやってのけて業界に君臨したのがフォードです。いま考えてもまったくけた外れの構想力ですね。そのフォードを1930年代にあっさり抜いて世界一となり、その後70年以上もその座を譲らなかったのがGMです。今や昔の感がありますが、冷静に見れば、GMというのは実に凄い会社だったということが分かります。
2. GMACはもっと凄かった
そのGMグループの中で私が最も感心するのはやはりGMACという売り子です。もしGMが単にクルマを作るだけの会社だったなら、この70余年の天下は無かったのではないかと思います。GMACはGM車を割賦で買えるようにし、さらに残価設定型のリースも可能にした「クルマを売る天才プロ集団」でした。この手法によって、ものづくり屋のGMは強力な売り子を得て、市場の隅々までGM車を充満させることができたわけです。
3. 米国の技術経営は破壊的だ
ものづくり屋とプロの売り子のカップリングは米国の覇権主義(技術経営)の典型です。互いに強力な助っ人となり、野球で言えば、他社に0-10で負けてる試合をあっという間にひっくり返すほどのパワーを発揮します。GMとGMACも見事なカップリングでした。日本ではこの2種が水と油で、「清廉なものづくり」に対して売り子は「金儲け主義」と揶揄され、両社はなかなか混じり合いません。晩年のGMACのように、クルマとは名ばかりで金融ごっこをやるようになるとおしまいですが、「徹底的に売ってやる」という売り子が付くことほど頼もしいことはありません。
さて、GMは国有化され、いったん幕引きとなりましたが、米国は商機をぜったいに見逃しません。クルマ市場は成熟しているのであまり劇的な動きはないでしょうが、この市場から逃げてきた資金とそれを操る売り子たちは既に次にカップルとなるべきものづくり屋を決めているでしょう。