日本の企業にナレッジマネジメントは必要か?
昨日は知人の紹介で、ジェイ・フィール社が提供する「リフレクション・ラウンドテーブル」という幹部研修サービスの話を聞きに行きました。
この研修のネタはカナダのヘンリー・ミンツバーグ氏が開発したIMPM研修です。ミンツバーグ氏といえば「MBAが会社を滅ぼす」という本を出して物議を醸し出した人ですが、若手向けの経営教育の場であるMBAに対し、実務者間ですぐれた管理手法を共有するIMPMを対比させて売り出しているようです。
リフレクション・ラウンドテーブルは、週に1回あるいは隔週に1回ほど中間管理職が集まり、75分間で管理手法を共有するものです。予習も復習も必要なく、難しい理論研修はありません。推測するに、課題を語り合い、よりよい管理手法を探りだすものでしょう。MBAに比べれば極めて課題や負荷が少なく、研修というより知識共有の場づくり、いわばナレッジマネジメントと思われます。
この研修の背景は米国のMBA偏重社会です。「MBAが会社を・・・」という本の主題でもありますが、米国ではMBA偏重の副作用として「偏った経営手法あるいは戦略にブレーキが効かない」ことが問題視されているようです。たしかに私が米国の大手SIerにいたときの経験では、幹部候補者の採用ではMBAホルダーしか書類選考を通過できませんでした。この副作用は特に昨年の金融破たんによってより大きくクローズアップされました。その揺り戻しとして、理論だけではなく、優れた企業の管理手法を共有すべきであるというのがIMPMの主張でしょう。
果たしてこのような研修が日本に必要なのか? これが私の正直な感想です。
IMPMには「日本と韓国に学ぶ」という単位が用意されています。課題は「協調と協力の精神の習得」とあります。MBA偏重企業の幹部は日本に学べということです。すなわち、MBAホルダー達が習得すべき優れた管理手法は日本にあるということでもあります。であれば、ナレッジマネジメントのように「体得」するより、MBAの一環として、われわれ自身も体系だてて経営手法として学べる研修にした方がよさそうです。幹部候補生にはMBAの知識自体は必須と思いますから、両者を一方だけ学ぶより、ミックスすることで、日米の経営手法の優れた点をともに取り入れることができるのではないでしょうか。