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商用オープンソース第二期に入る - SugarCRMのCEO交代

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米国民、いや、アメリカンドリームを信じるすべての人々にとってexitはこれほど重要な意味を持つのでしょう。

米国SugarCRM社のCEOであるJohn Robertsが辞任し、現役員で元VA LinuxのCEOであるLarry Augustinが暫定CEOに就きました。Johnは創業者の一人で、SugarCRM社を4年半に渡ってリードし、同社を世界に冠たる商用オープンソース企業に育て上げました。一方、Larryは投資家であるのと同時に、SourceForgeを商業化し、Compiere、Pentaho、SugarCRMといったこの市場のリーダー企業の役員を兼任する「商用オープンソース」界の影の仕掛け人です。彼は、オープンソースと従来のソフトウェアビジネスを融合することで新たな市場を開拓したパイオニアですが、オープンソースを儲かるネタにした彼の功績は素晴らしいと思います。

  • 商用オープンソースとは、言葉は似ていますが、通常のオープンソースとは異なるビジネスモデルで、ソフトウェアベンダが開発の主導権を握り、一部のコードを一般公開してマーケティングを行うものです。

SugarCRM社は従来より2008年をIPOの年に位置付け、40億円以上の資本金を集めてきました。役員の大半はベンチャーキャピタリストですから、SugarCRM社は「IPOでの高リターンを目指して意図的に運営されている金融商品」とも言えます。

ところが、昨年の金融ショックで市場が冷え切ったこともあってIPOのタイミングを逃したのだと思いますが、同社は社内体制を第二フェーズに向けて刷新しています。米国のベンチャー企業と投資家はこのように、IPOというマイルストーンに向けて幹部や社員がモチベーションを維持し、そのタイミングがずれると次の体制に移ることで精力を維持するという作業を繰返しますね。

前CEOのJohnは何度も日本に来て、電話会議も数えきれないぐらい行いました。ナイスガイで、早口でいたずらっぽい語り口や表情が印象的です。彼のことですから、既に次のビジネスを企画しているでしょう。Larryも何度かお目にかかっていますが、「草食系ベンチャーキャピタリスト」という印象があります。非常に冷静に物事を見ることができる軍師で、どちらかというとCEOとして企業をリードするより、CEOを補佐して行くべき道を示すタイプでしょう。おそらく、彼のあとに正式なCEOがアナウンスされると思います。楽しみに待ちたいと思います。

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