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プロダクトマネジメントとイノベーション

オープンソースビジネスの誤解はRed Hatから始まった

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米IDCは先日、2009年のソフトウェア産業が2%台の成長で停滞するという衝撃的な数字とともに、その中においてもLinuxの前途はきわめて明るいという調査報告を発表しました。

Matt Asayは、この報告はオープンソース全般にとって吉兆だというトーンで書いていますが、私はそうではなく、「システム保障の時代」が始まったと感じました。

IDCは同報告で、2009年度に有償版Linuxサーバが21%成長を遂げると予測しています。ソフトウェア全般が2%成長の中で異常な伸びです。図では無償版Linux(赤)のシェアも大きい一方で、有償Linux(黄)が急激にシェアを伸ばしていることが分かります。

Linux_trend

かつて、オープンソースに詳しい人々は、有償Linuxの代名詞となったRed Hatを例に取り、Red Hatが成功するのであれば他のオープンソースもRed Hatのようにサポートビジネスを展開すればうまくいくはずだという主張を繰り返して来ました。その結果は惨憺たるもので、サポートビジネスに転向した企業はことごとく失敗しています。

OS(オペレーティングシステム)のソースコードを入手して嬉々とするユーザはどのぐらいいるでしょうか。先端ユーザは喜ぶかもしれませんが、ソースコードを触れるユーザがサポート費用を支払うとは思えません。ほとんどのユーザはLinuxのディストリビューションをソースコードが開示されているOSとしてではなく、無償版OSとして歓迎しているはずです。したがって、彼らから有償サービスへのスイッチを期待することはできないはずです。彼らは図の赤色部分を占め続けるわけで、OSベンダの営業対象ではありません。

一方で、図の黄色が示すのは、システムの持続性を維持するために、Red Hatのようなサポート商品にカネを払う企業が増えているということでしょう。彼らはLinuxを無償だから利用するのではなく、万が一のときに助けてくれる、警備保障会社として利用しているのだと思われます。OSベンダにとってはこのような企業が営業対象です。

多くのオープンソース関係者はこの2種類のマーケットを完全に取りちがえてビジネスを展開しているようです。「オープンソース」と「サポートビジネス」を混同したのがすべての始まりだったのではないでしょうか。このような人々はRed Hatをオープンソース事業だと勘違いした人でもあります。

お客様は、万が一の時に何とかしてくれるサービスに保険料を支払うのであって、ソースコードにカネを払うのではありません。場合によっては、ソースコードを歓迎する人とサービスを歓迎する人が相いれない可能性があります。

IDCのグラフはこのような事実を端的に表していて、着眼点が非常に面白いと感じました。

そして、SaaSも有償Linuxの台頭もすべては持続性を保障するサービスの成長と言えるのではないでしょうか。今や、ソフトウェア自体を作ることは何でもないことです。OSからアプリに至るまで、誰でも作れるようになりました。そこに対価を見出すことは難しく、今後は、それらのソフトウェアを動作させ続けること、あるいは、変化に対応し続けることが重要な時代になりました。私はこの動きをシステム保障の時代への突入と捉えた次第です。

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