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「空気を読んだ」本を書いて売るスキル

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気になる本を2冊、おそるおそる(斜めに)読んでみました。「東大合格生のノートはかならず美しい」(文藝春秋)と「なぜ資本主義は自壊したのか」(中谷巌著、集英社)です。実は不吉な予感がしたので、あまり読みたくなかったのですが、やはり気になって読んでみたわけです。

まず東大ノートについて。

これに便乗(タイアップ?)した実際のノートも出ているそうで、売れているそうです。私は「はしくれ中のはしくれ」なのであまり語る資格がないですが、それでも「そんなことあるわけない」と思いました。私は綺麗なノートに出会ったことがないのです。どなたかがブログで書いておられますが、「ノートが綺麗なやつほど勉強に苦労していた」という経験則が私にもあります。ノートはあくまでも勉強の手段なので、綺麗か否かはまったく関係ないと思っていました。しかし、この本も便乗ノートも非常に売れているそうで、そこが偉いと思います。ものづくりでは許されませんが、ことづくりでは結果オーライもあるでしょう。

後者の「なぜ自壊したか」も斜め読みしながら「???」の状態です。この本も売れているようですが、東大ノートと同じく、「そんなわけがないだろう」というのが正直な読後の感想です。今後の世の中を不安に思う気持ちは分かりますが、何を自戒し、何が自壊するのか、因果関係が抜けているので、さっぱり分からず、読むほどにイライラしてきます。おそらく、もっと先端的な方にしか理解できないのでしょう。

これも他の方のブログで恐縮ですが、この本を「見事に空気を読んだ本」と評されていました。すなわち、東大ノートと同じ感覚があります。本当はそんなことはないんだろうけど、そう思わせて売ってしまうというわけです。いや、ご本人はいたって真面目かもしれませんが、周囲の方がそういう意図を持っていた可能性もあります。

いずれにしても、このように「本当かも」と思わせるテクニックは重要です。昨今の一連のクラウド本も「そんなわけないだろう」と思いながら立ち読みしていますが、これも情報の格差があるので売れるわけです。いずれにしても、これらの本をプロデュースしている人の感覚は素晴らしいと思います。内容はともかく、売れる本を作ることができるというのも今後の日本では重要なスキルセットだと思うからです。ものづくり派の人には腹立たしいかもしれません。

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