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プロダクトマネジメントとイノベーション

GM、デルファイの昨今に思う米国の弱さと強さ

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10年以上前になりますが、私が米国EDS社で働いていた頃、同社は米GMの傘下のIT部門として、オペル、いすず、キャデラック、デルファイなどを含めた世界のGMグループの統合を手掛けていました。日本ではバブルがはじけて市場に消極ムードが漂っていましたが、その頃のEDSでは大型プロジェクトがいくつも進行しており、自動車業界は好景気の真っ最中という感がありました。

当時、EDSの技術者と、1MBの図面を多国間でいかに高速に転送し、同期するかという技術論を交わした覚えがあります。パーツを共有化し、設計をワールドワイドで効率化するためです。今では簡単なことですが、当時はネットワーク環境が貧弱で、1MBの図面というのはすさまじく大きなデータ量だったのです。そういう新しいIT技術のネタがたくさんありました。

また、私が住んでいたカリフォルニア州は排ガス規制が厳しいこともあり、テストなのか宣伝なのか分かりませんが、GMの電気自動車第一号であるEV1が集団になってフリーウェイを走っているシーンを何度か目撃しました。

そんなこともあり、GMグループはITを含めたあらゆる新しいことにも積極的に投資しているなと感じた次第です。

その米GMがついに破産法の適用を視野に入れ始めたというニュースが流れました。デルファイや欧州サーブは既に破たんしています。以前より、GM(を含めた自動車大手各社)は破産法をいち早く適用して、高コスト体質のしがらみを断ち切らなければならない、という論調が強くありました。そしてデルファイが一部の事業を中国の会社に売却するというニュースも流れました。

まさに栄枯盛衰です。

しかし、米国の凄ささはおそらくこの先に目に見えてくるのではないでしょうか。金儲けをしたい人が世界中から集まる国が米国です。彼らは毎分毎秒、いかに儲けるかということを考えており、常に覇権や利権を目指しています。今回の自動車ショックを乗り切るスピードはおそらく早く、人や資金が大きく動き、何かしらの形で復権してくると思います。

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