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プロダクトマネジメントとイノベーション

「クラウド」というコンセプトは分かりやすいか?

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昨日、シリコンバレーから帰って来ました。向こうも夏ですが、相変わらず湿度は低く、非常に過ごしやすい気候でした。ああいう環境で働ける人たちは幸せですね。

さて、前々から取り上げている「クラウドコンピューティング」という言葉が日本でも根付きつつありますね。「クラウドコンピューティング」とは何ぞや?という解説もたくさん登場するようになってきました。

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ところで、この「クラウド」という言葉は日本人にとってどう響くのでしょうか? 「雲?」「混雑?」「クラウドってそもそも何?」という疑問が真っ先によぎって、直感的には「分かりにくい」と思うのですが、どうでしょうか。これは日本だけではなく、おそらく、米国人にとっても同じだと思います。インターネットを最初に「雲」で表現した人に罪があるのかもしれませんが(笑)、そのコンセプトを踏襲して「クラウドコンピューティング」とネーミングした人にも少し責任がありますね。

本題に戻り、Amazon、Google、IBM、Sun、Microsoft等はこのクラウドコンピューティングに一斉に投資し始めました。決断したのはもっと早い段階だったと思います。クラウドをASPやSaaSの延長だと捉える人もいますが、こういう大型投資を先行して行っているメンツを見ると、その狙いは「ほころびを見逃さない」という意思表示ではないかと見受けられます。

サーバやネットワークのスペックが顧客のニーズを超え始めた、グリーンITに関する諸規制が施行される、アプリケーションがマッシュアップ時代を迎えた、など上位層の急激な動きが重なり、コンピュータ資源を外部化する動きが本格化するだろうという確かな読みがあるのだと思います。解析や開発などからそれらは始まり、ゆくゆくは常態化するのではないか。

サーバメーカーにとってそのほころび(兆候)はAmazon EC2であったでしょう。これは巨人から見れば大した利益には見えないでしょうが、かつて、DELLやLinuxといった小さなほころびは大きな市場転換に結びつきました。サーバを売ることとクラウドを推奨することは社内では背反しますが、過去のIBMなどを見てもけっこう両立できるものです。

小さなほころびが見えたら、まずは他社に先駆けて投資することが最善の戦略である、ということでしょうか。

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