次の市場は空中(cloud)にあり?
RedHatは7日、ソフトウェアアプライアンス用のプラットフォームとあわせて、それらとAmazon EC2(Elastic Computing Cloud)との連携もアナウンスしました。ソフトウェアアプライアンスとは、一言でいうとOSからアプリまでを仮想マシン化し、仮想化されたサーバ上で即座に動作させるものです。スイッチ一発で動作するハードウェアアプライアンスに対して、ソフトウェアだけで一発動作環境を作るのでソフトウェアアプライアンスと呼ぶようです。
弊社が提携しているrPathも同種のサービスを提供していますが、rPath社はRedHatのスピンオフ組みが創設した会社ですから、親子が同じ市場で競争することになります。
さて、このようなソフトウェアアプライアンスを受け入れるサーバ側リソースとして、Amazonはいち早くEC2を提供してきました。この「Cloud」という用語はGoogleが使い始めたという説がありますが、商号として使い始めたのはAmazonの方が早いかもしれません。インターネットを雲の図で表すことからネット上のサーバ群をcloudと呼ぶとか、ユーザ環境が瞬間的にインスタンス化され、使用リソースが雲のように変わり続けるからcloudと呼ぶ、とかの由来があります。
さて、私も以前からEC2でいろいろ遊んでおりますが、ストレージや仮想環境が一発で動作し、使用料も激安なので、ネットワークの遅延が発生しない範囲に居住していれば、大容量のサーバルームとして実に効果的に使えます。rPath社は、rBuilderというオンラインサービスをAmazon EC2で動作させているようですが、既に2TBもの容量を使っているそうです。
7月にはMicrosoftが米国でCloud Infrastructureを発表しましたが、先日の日本でのカンファレンスでもSteve Ballmerから簡単に同サービスの紹介がありました。それによれば、同社のサービスは開発者向けになるようで、Windowsをベースとした様々な開発環境を瞬時にインスタンス化して使い始めることができるものだそうです。彼らが構築中のデータセンターは、Live!サービスを含めてこのようなcloudとして使用されるのでしょう。
10月にはIBMとGoogleが共同で大学の研究目的で並列コンピューティングのリソースを提供するという発表を行いました。大規模に並列化されたコンピュータを使う技術を磨いてもらおうというものです。
このように、IT業界のキープレイヤー達は、IDCやSaaSといった目的が限定的なフレームワークをさらに超え、Cloudというコンピューティングサービスに向かってひたすらに勝負をかけているように見えます。まだ企業向けの本格的なサービスというフェーズではなく、開発や試験フェーズの位置づけでしょうが、このサービスが早く日本でも実現し、ネットワーク遅延のない状況で自在に遊んでみたいと思う今日この頃です。