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プロダクトマネジメントとイノベーション

タグチメソッドによるソフトウェア品質管理は可能か?

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タグチメソッドは、米国自動車殿堂入りをされた田口玄一博士が編み出した品質管理手法の一つで、同氏の品質工学の根幹をなすものです。

この手法は、自動車業界を始め、おもに製造業において品質のばらつきを効率的に減少させる効果をもたらしたと言われています(品質の国ニッポンではなく米国で殿堂入りされたのはなぜ?)。特に、直行表によってSN比を効果的に高める仕組みが注目を浴びました。

さて、この手法をソフトウェアの品質管理に当てはめようという試みがあります。私がかつて在籍したIT企業でも品質管理にはただならぬ投資をしてきました。こういう研究もされています。

ただ、ほとんどの研究はテストパターンをいかに減らすかということに注力していますね。それは、ソフトウェア開発プロセスにおいては直行表の因子がとりづらく(なにが品質のばらつきを産むか)、「機能」が因子になりやすいことが要因なのではないでしょうか。ブラックボックステストなどでは効果的でしょう。

しかし、それはあくまでも「もぐら叩きを効率的に行う」ことにすぎず、誰がもぐら(ばらつき)を作っているのかという根本問題には近づいていません。

ソフトウェアはほとんどの場合、書き出しの1文字目から最後の1文字に至るまですべてが手作業で綴られます。それがOSから業務アプリまで重なって動作しますから、人類の所業を積み重ねた絵巻物です。となると、絵巻物の出来・不出来のばらつきを産む最大の因子は人であり、人の集団であり、人を動かす規律、倫理、環境ではないでしょうか。

これらの視点は新しいものではなく、既に開発工程にはスタンダード、ドキュメント、レビューなどの一連の規律があり、人のスキルセットの揺れを抑えています。すなわち、ばらつきを決めるのはこれらの因子なのでしょう。

因子の充実度は、最近ではケイパビリティ・マチュリティ・モデルなどのハイカラな名前で日本でも標準化の動きがあります。ただ、評点化によってどうしても「より完璧な規律を作る」方向に意識が向き、「効率的にばらつきを抑える」手法が出にくいのが難点です。

オープンソースコミュニティで暮らしていると常にタグチメソッドのことが頭をよぎります。この集団的な熱狂を維持しながら効果的に規律を当てはめることができないか。それができれば、「米国オープンソース業界殿堂入り」は間違いないでしょう。

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